キャディ調査、ウクライナ情勢など受けたサプライチェーン混乱で機運広がる
インターネットを利用した金属加工仲介を手掛けるスタートアップのキャディは9月5日、製造業(食品・繊維・化学は除く)の経営層や調達・購買担当者らを対象に、地政学リスクや社会情勢の変化などによる影響度合いの調査結果を公表した。
サプライチェーンの中で最も影響を受けた活動は「海外からの調達」で回答者の7割弱に到達。影響を与えた事象について尋ねたところ、最多は「(新型コロナウイルスの感染拡大を受けた)中国のロックダウン(都市封鎖)」で7割超、続いて「ウクライナ問題」となった。
調達品への影響は「価格高騰」が8割超で最多となり、「納期遅延」「供給制約」と続いた。
また、サプライチェーン混乱を踏まえて実施した、代替部品への切り替えや仕様の変更といった対応策が完了したのは5割程度にとどまった。2022年現在、重視する観点は「キャパシティの確保」「納期遵守」が多く、「調達原価の低減」を上回った。「最適な安全在庫の設定」も20年比で大きく伸びた。部長層(部長・工場長クラス)以上の9割超は「中長期的に調達・購買戦略の見直しが必要」と回答した。
世界的なサプライチェーンの混乱に伴い、製造業の間に在庫の確保など調達・購買を重視する動きが広がっていることをうかがわせた。
キャディは、地政学リスク・社会情勢の変化は、海外/国内における調達を中心にサプライチェーンに広範な影響を与え、製造業の経営に大きなインパクトを及ぼしていることが推察されると説明。
様々な対応策の完了率が5割程度にとどまっていることについては「有事対応による調達業務の逼迫に加えて、部門連携やデジタル化などの恒常的な組織課題がハードルになり、本来実行したい施策に着手できないといったの事情がありそうです」と分析している。
また、「引き続き地政学リスクは継続することを前提に、足元の対応のみならず、サプライチェーン全体を俯瞰し、多面的なリスク対応を含めた中長期的な調達・購買戦略の見直しが求められている」と呼び掛けている。
調査概要
調査名称:「地政学リスクによる製造業(食品・繊維・化学は除く)サプライチェーン・調達への影響調査」
調査目的:2022年の地政学リスク・社会情勢変化による、製造業、特に機械・電機系分野への影響、対応状況を明らかにする
調査手法:株式会社クロス・マーケティング社のモニターを用いたインターネット調査
調査時期:2022年8月19~23日
調査対象者:『製造業(食品、繊維、化学は除く)』にお勤めと回答された18,542名にアンケートを配信。
うち、従業員数10名以上、年商1,000万円以上、の企業にお勤めで、「購買・調達」「原価企画」「設計・開発」「生産管理」のいずれかの業務に携わっている3,727名に地政学リスク・社会情勢の変化により、自社のサプライチェーンに直接的・間接的な影響を受けたかを訪ねた。
有効回答数:3,727名
(藤原秀行)