新幹線での貨物輸送やアセットの共通利用、外国人ドライバー採用など列挙
経済同友会は2月5日、「経済成長と競争力強化に資する物流改革」と題した提言を公表した。
深刻な人手不足など山積する課題に対応し、経済成長を後押しするため、
①物流版シェアリングエコノミーの実現
②先進技術の積極的な活用
③聖域のない国内制度の改革
-を軸に据えた。
具体策として、物流の梱包や輸送容器、情報システムといった多様な要素を標準化し、物流事業者らが共有できるようにすることや、安全管理システムを導入した物流事業者は自家用トラックでも有償の貨物運送ができるようにすること、新幹線の車両で貨物を運ぶことなどを列挙した。
「府省庁の壁取り払い推進主体設置を」
提言は、「宅配クライシス」と騒がれている現状に触れ、「宅配便はわが国の物流の一部であり、トラック輸送や鉄道輸送、海上輸送などわが国の産業を支える『物流全般』について課題を解決していかなければならない」と危機感を表した。
そのために取り組むべき施策として、輸送の効率化に向けて輸送容器や駐車スペース、荷さばき場などのアセットを物流事業者らが共通に利用できるようにすることを挙げた。
他にも、物流事業者が現場作業へ先進技術を取り入れていけるよう、一段と大胆な規制改革につながる諸制度の改革を要望。一定の安全基準を満たした車両で外国人ドライバーを活用したり、高速道路の料金を見直して利用を促進したり、既設のコンテナターミナルにおける荷役機械の遠隔操作化・自働化を図ったりすることも盛り込んだ。
最後に、「物流事業者が大胆に発想の転換をしなければならないことは当然だが、一方で荷主も物流をコストではなく、価値創造と位置付けた企業経営を行うべきだ」と荷主サイドにも意識変革を求めた。同時に、国に対しても「府省庁の壁を取り払い『21世紀の新たな物流』の実現を後方から支援する推進主体の設置が望まれる」と注文を付けた。
提言が打ち出した主な施策と取り組むべき主体(経済同友会提供)※クリックで拡大
提言を発表する経済同友会の渡邉健二・物流改革を通じた成長戦略委員長(日本通運会長、右)※経済同友会提供
(藤原秀行)
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