IHI、持続可能な航空燃料SAFの合成技術でシンガポール政府系機関と共同研究開始

IHI、持続可能な航空燃料SAFの合成技術でシンガポール政府系機関と共同研究開始

CO2と水素から原料生み出す技術の開発目指す

IHIは9月16日、シンガポール科学技術研究庁(A*STAR:Agency for Science, Technology And Research)傘下の研究機関であるISCE²(化学・エネルギー・環境サステナビリティ研究所、Institute of Sustainability for Chemicals, Energy and Environment)と,環境負荷が低い持続可能な航空燃料SAF(Sustainable Aviation Fuel)の合成技術に関する共同研究を開始したと発表した。

ISCE²が保有する触媒技術を活用し、CO2と水素からSAFの原料となる液体炭化水素を効率良く合成できる技術の開発を目指す。

 
 

SAF製造の要素技術となる触媒の開発をISCE²との共同研究で加速し,触媒開発とともに重要な反応器やプロセス開発はIHIが主として手掛ける。今後3年間で触媒の要素開発を終了し,できるだけ早期に商用化を目指していく計画。
 
IHIはISCE²の前身の組織ICESとメタネーション触媒の共同研究・開発に取り組んできた。組織が変わっても協力関係を継続し,現在はCO2を原料とした低級オレフィン合成技術の共同研究を進めている。

またIHIはSAFの一種、微細藻類由来のジェット燃料開発も行っており,2020年5月に同燃料での航空用代替ジェット燃料に関する国際規格認証を取得。21年には国内定期便への供給とデモフライトを成功させ,22年3月には国産SAFに関する有志団体「ACT FOR SKY」に加盟するなど、航空分野のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)達成へ精力的に活動している。

ISCE²とは2022年、同様の目的でジョイントセンターを設立。CO2を原料としたSAFの普及・拡大をリードできるよう、同センターを活用して世界の潜在パートナーと協働することを念頭に置いている。


共同研究契約締結を受けて記者会見した(左から)ISCE²のProf. Yeoh Lean Weng, Chief Sustainability Officer of A*STAR、IHIの久保田伸彦常務執行役員技術開発本部長(IHI提供)

(藤原秀行)
 

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