ヤマト・長尾社長、EC領域の食品取り扱い拡大支援へ冷凍・冷蔵配送強化を表明

ヤマト・長尾社長、EC領域の食品取り扱い拡大支援へ冷凍・冷蔵配送強化を表明

アマゾンイベントに登壇、吉沢本部長は物流サービス注力をアピール

ヤマトホールディングス(HD)の長尾裕社長(ヤマト運輸社長兼務)は10月12日、アマゾンジャパンがオンラインで開催した大規模イベント「アマゾンECサミット2022」に登場し、同社でインターネット通販に出品している販売事業者向けの物流サービスFBA(フルフィルメント by Amazon)などを手掛ける吉沢直大セラーサービス事業本部FBA&MFN事業本部長と対談した。

長尾社長は、アマゾンと連携して2021年に開始した、販売事業者向けの新たな物流支援サービスが好評を博していると解説。その上で、今後は食品のEC取り扱い拡大を後押しするため、冷凍・冷蔵の配送を強化していきたいとの考えを示した。

吉沢本部長は、引き続きヤマトと連携し、販売事業者がよりスムーズに多くの商品を販売できるよう物流サービスに注力していく姿勢をアピールした。


対談する長尾社長(右)と吉沢本部長(オンライン配信画面をキャプチャー)

両社は21年、販売事業者に代わってヤマトが割安な料金でアマゾンの物流拠点「フルフィルメントセンター」への商品納入を請け負うサービス「FBAパートナーキャリアプログラム・ヤマトオプション」と、販売事業者が商品を自前で発送する際にヤマトの宅配を特別料金で使える「マーケットプレイス配送サービス」を開始した。

長尾社長はFBAパートナーキャリアプログラム・ヤマトオプションについて「当社の全国6万人のセールスドライバーのネットワークをご利用いただき、少量・多頻度でどんどん納品の便を発送できるようになっている。販売までのリードタイムをどう縮めるかのニーズについて、非常に評価いただいていると思う。販売が増えたりキャッシュフローが良くなったりと、非常にビジネスにとって大きなプラスの効果を生んでいるのではないか」と解説。

マーケットプレイス配送サービスについても「(ヤマトの会員サービスの)クロネコメンバーズのお客様は置き配も含めた受け取りの選択肢を選べるため利便性を実感していただけるのではないか。(住戸のポストに入る小型の)ネコポスも利用いただける」とメリットを強調した。

吉沢本部長から今後ECの物流面で注視している領域を問われたのに対し、長尾社長は「食品の領域がこれから非常に有望なのではないかと考えている」と明言。

「当社は(冷凍・冷蔵の配送が可能な)クール宅急便を通して鮮度を維持したままいかにお届けすることで商圏を広げ、販売機会を拡大していくかという生産者支援に、非常に長い間取り組んできている。この領域でいかにオンラインの消費に適したプロセスを作っていくかがこれから非常に大切になるだろう」と持論を展開。冷凍・冷蔵輸送の利便性向上や配送効率化などを推し進めていくことを明らかにした。

吉沢本部長は「今後もヤマトさんと連携し、コスト負担軽減、オペレーション効率化へ継続的に取り組み、FBAと自社出荷の両面でより多くの販売事業者様に出品いただけるよう取り組んでいきたい」と決意を表明、対談を締めくくった。

(藤原秀行)

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