EC化率の伸長、運送費や燃料費上昇が寄与と分析
矢野経済研究所は10月27日、国内の小売物流市場に関する調査結果を公表した。
(プレスリリースより引用)
2021年度の小売物流の市場規模は物流事業者(物流専業者、物流子会社)の販売高ベースで、前年度比5.1%増の7兆9000億円(速報値)と推計。前年から伸びた主な要因として、小売業全体の市場規模拡大による取り扱い物量の増加に加え、消費者向け物販におけるEC化率の伸長に伴う宅配便などラストワンマイル物流の拡大を挙げている。
加えて、人手不足を受けた人件費値上げによる運送費の上昇や燃料費の高騰など関連費用が膨らんでいることもあると指摘。特に消費者向けEC関連荷物の特徴となっている「多品種、少量、小口化」が進むことで荷役費や輸送費の上昇につながり、中でも物流コストがかさむラストワンマイル物流の増加が、小売物流の市場規模を押し上げていると分析した。
22年度は4.3%増の8兆2400億円と予想。前年度と比較して成長率の勢いはやや落ち着くものの、EC化率の伸長をはじめ燃料費や人件費の増加による輸送費の上昇など、主な拡大要因としては前年度と同様の傾向があると想定。「今後もこうした傾向が継続するものとみており、小売物流市場は拡大基調にあるものと考える」と記している。
(藤原秀行)