コスト上昇分の一定割合転嫁を顧客と交渉へ
ニチレイの大櫛顕也社長は11月1日、オンラインで開催したメディア向けの2022年9月中間決算会見で、最近の電気代高騰を受け、ニチレイロジグループ本社を軸に展開している低温物流事業で22年度の下半期から「電力料金サーチャージ」と呼ぶ仕組みを本格的に導入することを明らかにした。
燃油サーチャージと同様に、コスト上昇分の一定割合を商品保管などのサービス料金に転嫁、顧客にも負担してもらうことで安定的な事業運営を図るのが狙い。
大櫛社長は「ここまで電力料金が急激に上昇することは過去になかった。低温物流は電力をかなり使うので(コスト上昇分は)自社の努力だけではとても追いつかない額になる。一時的に、ということもご理解いただけるよう、お客様と交渉している」と説明。具体的な積算根拠も明らかにしながら、電力料金サーチャージを了承してもらえるようにしたいとの姿勢を示した。また、電力料金サーチャージは全ての顧客を対象とすることを明かした。
同社は23年3月期の低温物流事業の業績に関し、売上高は前期比10%増の2460億円、営業利益は5%増の153億円と予想。売上高は従来見込みの2340億円から上方修正する一方、営業利益は据え置いた。
国内の地域保管事業における荷動きの堅調な推移や物流ネットワーク事業の外食向け取り扱いの伸長、冷食共同配送業務の拡大などで大幅な増収を想定。営業利益は「エネルギー価格の高騰や人件費などのコストアップ影響を受けるものの、業務効率化や電力料金サーチャージの収受などにより、増益を見込んでいる」と解説している。
(藤原秀行)