三井不動産、物流など対象の海外VCが組成した脱炭素特化型ファンド3本に出資へ

三井不動産、物流など対象の海外VCが組成した脱炭素特化型ファンド3本に出資へ

国内デベロッパー初、グローバル規模で有望技術発掘目指す

三井不動産は11月7日、2050年のカーボンニュートラル社会実現に向けたグループ行動計画の実行に当たり、ベンチャー共創事業部(31VENTURES)で脱炭素に関する技術革新の動向把握と有望な技術を持つスタートアップの発掘・共創に向け、当該分野に強みを有するベンチャーキャピタル(VC)の組成するファンドへの戦略的LP(有限責任パートナー)出資予算を新たに策定したと発表した。

これまでに物流などを投資対象に据えている3つのVCが運営している計3ファンドへの出資を決定した。国内不動産デベロッパーから脱炭素に特化した海外VCファンドへLP出資するのは初めてという。

31VENTURESは2015年の設立以来、3つのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンドの運用のほか、グローバル規模でスタートアップの発掘のため欧米、イスラエル、アジアのVCが組成する計30本以上のファンドへ戦略的LP出資を進めてきた。

脱炭素分野に関する技術革新や、スタートアップの発掘における脱炭素領域に特化した専門家の知見やネットワークなどスタートアップの活躍を促進する土壌は海外が先行している。そうした状況も踏まえ、脱炭素分野へ積極的に投資することにした。

第1弾として、歴史が長く専門人材が在籍するスイスのVC「Emerald Technology Ventures(エメラルド・テクノロジー・ベンチャーズ)」、欧米に複数の専門チームを持つVC「Energy Impact Partners(エナジー・インパクト・パートナーズ)」、米シリコンバレーのVC「G2 Venture Partners(ベンチャー・パートナーズ)」がそれぞれ組成する計3ファンドへのLP出資を決定した。

脱炭素関連技術の社会実装に向けては10年単位での時間が必要となり、長期的な視点での成長支援施策が求められている。三井不動産は引き続き、グローバル視点で脱炭素関連VCファンドへの戦略的LP出資を手掛けていく考え。

【出資を決定したファンドを組成するVCの概要(アルファベット順)】
・Emerald Technology Ventures
 URL    https://www.emerald-ventures.com/
 設立     2000年
 所在地   チューリッヒ等
 投資領域  先端素材、農業、エネルギー、産業IT、水

・Energy Impact Partners
 URL    https://www.energyimpactpartners.com/
 設立    2015年
 所在地   ニューヨーク
 投資領域  クリーンエネルギー、ストレージ、モビリティ、スマートホーム、デジタル化、サイバーセキュリティ

・G2 Venture Partners
 URL    https://www.g2vp.com/
 設立    2017年
 所在地   シリコンバレー
 投資領域  輸送、製造、農業、エネルギー、サプライチェーン、物流

(藤原秀行)

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