帝国データ調査、50件突破で苦境鮮明と指摘
帝国データバンク(TDB)は11月9日、物価上昇に伴う仕入れ価格上昇などが影響した企業倒産の実態に関する調査結果を公表した。
物価高倒産は法的整理(倒産)企業のうち、原油や燃料、原材料などの「仕入れ価格上昇」、取引先からの値下げ圧力などで価格転嫁できなかった「値上げ難」などにより、収益が維持できずに倒産した企業をカウントしている。
TDBによれば、10月の物価高倒産は41件判明し、月間ベースで最も多かった9月(35件)をさらに上回り、4カ月連続で月間最多を更新した。1~10月のベースでは「運輸業」がトップとなり、燃料高などが運輸業界に打撃を与えていることを浮き彫りにした。
(TDB提供)
10月の41件を業種別に見ると、「製造業」(12件)がトップで、中でも「飲食料品製造」(7件)が最多だった。「小売業」(9件)、「運輸・通信業」(8件)、「建設業」「卸売業」(同5件)と続いた。
業種詳細別でも「運輸業」(8件)や「飲食料品小売」(5件)が目立ち、燃料高や食品の価格高騰の影響を受けた業種が多かった。規模別では「1億~5億円未満」が20件で首位。次いで、「1億~5000万円未満」(10件)、「1000万~5000万円未満」(8件)と負債額中規模の倒産が目立つ。
今年1~10月に発生した226件を業種別に分類すると、「運輸・通信業」(51件)が最も多く、全体の約23%に達した。以下、「建設業」(49件)、「製造業」(44件)、「卸売業」(34件)が並んだ。業種をより詳細に分けると「運輸業」が51件で1位となり、その後は「総合工事」(28件)、「飲食料品製造」(22件)などとなった。
(藤原秀行)