ラサール不動産投資顧問、物流施設など対象ファンドを近く組成へ

ラサール不動産投資顧問、物流施設など対象ファンドを近く組成へ

優良な「コア物件」重点、5年目に運用資産残高3000億円目指す

 米不動産運用大手ラサール インベストメント マネージメント傘下の日本法人、ラサール不動産投資顧問は2月20日、日本で新たな不動産投資ファンド「日本コアファンド」を近く立ち上げることを明らかにした。

 安定的にインカムゲイン(資産の継続所有に伴う家賃収入や分配金など)を生み出せる「コア物件」をメーンの投資対象とし、当初は同社が国内で開発してきた物流施設など6物件、AUM(運用資産残高)1000億円をポートフォリオに組み入れる予定。

 同社が東京都内で開いた「グローバル不動産投資戦略2019」の記者説明会でファンド組成の方針を説明した。4大都市圏を中心に優良物件へ投資、組成から3年目のポートフォリオを10~15物件でAUM2000億円、5年目は20~30物件で3000億円まで拡大させたい考えだ。


ファンドに組み入れる予定の「ロジポート堺」(ラサール不動産投資顧問提供)

当初組み入れは堺市で自社開発のマルチ型案件など

 ファンドは安定的なインカムゲインを重視し、4大都市圏でオフィスビル、商業施設、物流施設、賃貸住宅の主要4種類のアセットを核に据えて投資。各アセットで資産規模の25%ずつ均等に占めることをモデルとする。

 インカムゲイン全体の8割超を取得した既存のコア物件から得たい考えだが、自ら好立地で優良なアセットを開発したり、既存の物件を新たに再生したりする「ビルド・トゥー・コア」にもチャレンジする見通し。

 当初組み入れる物流施設は同社がNIPPOや三菱UFJリースと共同開発し、2017年に堺市で完成したマルチテナント型の「ロジポート堺」(延べ床面積約11万6100平方メートル)の予定で、取得価格は121億~124億円と見積もっている。他にオフィスビルと商業施設が1件ずつ、賃貸住宅が3件となる見通し。

 記者説明会で新たなファンドの運用責任者を務めるラサール不動産投資顧問の森岡亮太執行役員シニアマネージングディレクターは「2年ほど前から計画を進めていた。グローバルのいろいろな経験を生かして、弊社ならではの安定的な投資機会を提供していきたい」と強調。

 同じく執行役員の西村章シニアマネージングディレクターは「日本で初めて、きちんと戦略を持って物件を組み入れるラサールの世界基準にのっとったファンド。われわれにとってもチャレンジだが、今後日本での物流不動産投資の窓を広げていくことになる」と自信をのぞかせた。


ファンドの概要を説明する森岡氏

日本のAUM7400億円の4割が物流施設

 同社は現在、日本でコア投資を中心に展開しており、AUMは約7400億円に上る。アセット別では物流施設が全体の41%と最も大きい。

 日本での新たなファンド組成は、ラサールが投資対象選別の際に考慮すべきポイントと訴えている、
①都市部への流入など「人口動態」(Demographics)
②eコマースやシェアリングエコノミーなどの「技術革新」(Technology)
③再開発などの「都市化」(Urbanisation)
――の3要素「DTU」に沿って投資・運用戦略を定めている。4大都市圏での物流施設などへの投資をメーンとするのもその一環。

(藤原秀行)

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