モノタロウ、商品の自社在庫分不足時にサプライヤーから購入者へ直接出荷可能なシステム導入

モノタロウ、商品の自社在庫分不足時にサプライヤーから購入者へ直接出荷可能なシステム導入

SCM担当役員が説明、「当日出荷」維持し欠品率30%改善目指す

工具などのインターネット通販大手MonotaRO(モノタロウ)でSCM(サプライチェーン・マネジメント)を担当している田村咲耶執行役サプライチェーンマネジメント部門長は11月24日、東京都内で同社のSCM高度化戦略に関する記者説明会を開いた。

田村氏は、同社が売りとしている、注文を受けた当日に商品を発送する「当日発送」をより確実にするため、売れ筋のものを中心に数多くの商品を自社倉庫に確保しておく「自社倉庫への在庫化」に注力していると紹介。新型コロナウイルスの感染拡大時のようにマーケットが大きく変動する場合でも、当日出荷を安定的に継続できることを重要視していると説明した。

欠品率を下げ、当日発送を維持するための新たな取り組みとして、自社倉庫に商品の在庫が不足している場合にサプライヤーの倉庫から顧客向けに出荷できる「在庫連携/新受発注管理システム(OMS)」の導入を進めていることを明らかにした。自社在庫の分とサプライヤーが持っている分を合わせて注文数を満たせるようにし、欠品を避けられるようにする狙いがある。

田村氏は今後の目標として、OMSの展開で「少なくとも欠品率は現状から30%改善していくことを目指していきたい」と語った。


説明会に臨んだ田村氏

田村氏は今年9月末現在、商品点数は1900万点に上り、そのうち当日出荷の対象としている商品は61万点、その中でも自社在庫分は49.7万点になっていることを明らかにした。当日出荷はその日の午後3時までに注文を受けたものを対象に実施しているという。

自社在庫化の効果として「緊急性が高いようなお客様が当日に欲しい商品の配送リードタイムが1日短くなるだけでも売り上げ拡大効果が大きい」と話した。1日短縮で数パーセントの売り上げ増になるという。

また、毎月数千SKUの商品を新規に自社在庫化すると同時に、売れ筋外の商品は自社在庫から入れ替えており、その判断はアルゴリズムで選定していると解説。2021年には4.5万SKUを新規に自社在庫化した一方、2.4万SKUを自社在庫から外したという。

コロナ禍などでサプライチェーンが混乱しても当日出荷を止めないよう、在庫の保有量予測はそれまでの過去の販売実績をベースに計算したものから、21年以降は機械学習を用いてより精度を高めているほか、中国からの輸入品を中心に、21年以降に在庫を数カ月分積み増しし、中国のロックダウン(都市封鎖)が起きても欠品を回避できるようにしていることにも触れた。

自社在庫確保の前提となる物流拠点についても、大規模な投資を継続していくとアピール。2025年度をめどに茨城県内で新たな物流拠点を構えることをあらためて説明した。

OMSについては、今春からサプライヤー数社の協力を得て、パイロット的に運営を開始。モノタロウ自社倉庫だけでなく、サプライヤー倉庫の在庫も引き当て対象にし、購入者の要望も踏まえ、モノタロウの自社倉庫を経ず、モノタロウが手配した配送会社を使い直接取引先へ納品できるようにしている。

今後は対応可能なサプライヤーの数を増やすとともに、購入者に一番近いサプライヤーから出荷するよう選択可能にすることなども始めていきたい考え。

(藤原秀行)

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