ドローンや配送ロボット導入、日本で早期の実用化目指す
楽天と中国でインターネット通販サイト「京東商城(JD.com)」を運営するEC(電子商取引)大手の京東集団は2月20日、東京都内で記者会見し、ネット通販で購入した商品を地方などで購入者に届ける無人配送に関して提携すると発表した。
京東が開発したドローン(小型無人機)とUGV(地上配送ロボット)を楽天が導入。「楽天市場」の商品をユーザーに届けることを想定している。双方が持つノウハウや技術を組み合わせ、無人配送の早期実用化を目指す。
ドローンは最大積載量5キログラム、最大飛行時間は40分、最長飛行飛行距離は16キロメートルを計画。UGVは最大積載量50キログラム、最大走行時速は15キロメートルを見込んでいる。
楽天が公開した、ドローンとUGVを活用した無人配送のイメージ動画
UGVによる商品配送のデモンストレーション
UGVで届いた商品を手渡すデモンストレーション
記者会見で楽天の安藤公二常務執行役員は、京東とタッグを組む背景について「ドローンの機体はさまざまなシーンに応じて最適なものを活用していきたい。(京東は)既に中国国内でかなり数多くの配送経験を持ち、テクノロジーも進んでいる。弊社も活用させていただくことになった」と説明。「無人配送の分野で産業革命を起こしたい」と意気込みを示した。
ドローン・UGV事業部の向井秀明ジェネラルマネージャーは、19年中に無人配送の概要をなるべく早期に発表したいとの意向を表明した。
京東集団の肖軍副総裁兼X事業部総裁は「われわれは中国のかなりの場面でドローンやUGVを応用しており、一部の地域では恒常的に利用しているという強みがある。日本へ、そして世界の多くの国へテクノロジーをもたらしていくことでわれわれ新たな試みができる」と語った。
会見後の記念撮影に応じる(左から)楽天の向井氏、安藤氏、京東の肖氏、同社日本法人の荒井伸二最高責任者※クリックで拡大
楽天は16年にドローンを使った配送サービスを開始、ゴルフ場で商品をクラブハウスから来場者に届けたり、ローソンと共同でコンビニ商品を地域住民に配送したりしてきた。18年には初めてドローンとUGVを組み合わせた配送実験を行った。
一方、京東は15年にドローン開発をスタートし、16年に世界初の商用ドローン配送を開始。19年にはインドネシアでもドローンの試験飛行に成功した。両社ともドローンを生かした配送の確立に注力している。
(文と動画・藤原秀行、写真・中島祐)