パナソニックHDや三菱地所などが実証実験、街の魅力向上狙い
三菱地所などが参加する一般社団法人大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会(大丸有協議会)は12月6日、同社やパナソニックホールディングス(HD)と連携し、東京都千代田区丸の内の公道などで12月1日から実施しているロボット単独の走行・販売実証実験を報道関係者に公開した。
人間の代わりにロボットがエリア内を自動で巡回し、特定の場所で飲料などを販売することで、オフィスビルや商業施設が集中する大手町・丸の内・有楽町地区を行き交う人たちの利便性と町の魅力の向上を図る。移動販売という切り口で人々がロボットに触れる機会を増やし、ロボット活用の新しいアイデアを地域から生み出せるよう後押しする狙いもある。公道を使いロボット単独の走行・販売実験を行うのは日本初という。
2カ月かけ商品・決済方式変えて実施
実証実験は、“歩行者・モビリティ・ロボットが共存するウォーカブルな空間”の実現を目指すスマートシティ事業の一環。パナソニックHDが開発した完全遠隔監視・操作型自動搬送ロボット「ハコボ」が、丸の内仲通りや行幸通りなどの公道を含む指定ルートを巡回しながら、特定の停止ポイントでカプセルトイや飲料などを無人販売している。
ハコボは長さ90cm、幅55.5cm、高さ115cm、重量120kgで、走行スピードは一般的な人間の歩行速度と同じ程度の時速4km。荷台を入れ替えることで、販売品目などを変えられるのがメリットだ。
巡回するロボット
実証実験はロボットの特性を生かし、12月1日〜24日と、2023年1月6日〜2月4日の前後半に分け、販売商品や決済方法(現金と電子決済)を変えて実施。多様な販売形態にロボットが対応できるかどうかを見極める予定だ。
前半は実験を行っているエリアでクリスマス市が出るのに合わせ、クリスマス風にデザインしたスマホリングをカプセルに入れて現金決済で販売し、イベントと連携した地域のアメニティ向上に使えるかを確認する。後半はエリアを散策している人の利便性や個別店舗の収益を向上させることを目的として、保温ドリンクを電子決済で販売する。
滑り出しの売れ行きは想定以上
現地取材会では、実際の販売地点までハコボが公道を走行し、客に扮したスタッフが500円硬貨を入れてカプセルトイを購入する様子を実演した。空のカプセルはハコボの荷台にあるリサイクルボックスで回収した。実演中も一般の通行人が足を止めてハコボを眺めたり、スマートフォンで写真を撮影したりと強い興味を示していた。
現地取材会に先立つ12月1日〜3日の3日間で、カプセルトイの売れ行きは当初見込みを上回る1日25〜30個に達しており、滑り出しは順調だ。大丸有協議会は反響に手応えを感じており、実験の成果と課題を踏まえ、両社と引き続き実用化を探る構え。
カプセルトイを無事購入
(石原達也)