一五不動産情報サービス市況調査
一五不動産情報サービスは2月22日、物流施設の不動産市況に関するアンケート調査結果をまとめた。
半年後の不動産価格、賃料のいずれも「横ばい」とみる向きが7割を占めた。ただ賃料については、「上昇」と予想する割合が増加基調にある。同社は「楽観的な見通しが勢いを増している」と指摘した。
調査は半年ごとに行っている。今回は1月、不動産に関連する実務家・専門家を対象に、アンケート回答用紙を送付、91件の回答を得た。
不動産価格については、半年後は「横ばい」が70・3%、「上昇」が27・5%、「下落」は2・2%だった。2017年1月以降、「横ばい」は60%台後半から70%台前半の間、「上昇」は20%台でそれぞれ増減を繰り返している。
「横ばい」の理由としては、「キャップレートのさらなる低下が見込みづらいため」が最も多く、価格が上限に近づいているとの見方が根強いことを物語っている。一方、「上昇」の理由は「物流施設への活発な投資が続くため」が最多だった。
物流施設の不動産価格の見通し(半年後)(一五不動産情報サービスの資料より引用)※クリックで拡大
賃料に関しては、半年後は「横ばい」が70・3%、「上昇」が24・2%、「下落」が5・5%となった。「下落」の割合が17年1月から4回連続で低下。半面、「上昇」は17年7月を底に3回連続して前回調査より拡大した。
同社は「東京圏の不動産マーケットでは19年において過去最大の供給量が見込まれているが、賃料水準では楽観的な見通しが勢いを増している」と分析している。
「横ばい」の理由は「新規開発による供給増と物流ニーズの増加が均衡するため」と「荷主および物流会社の賃料負担力に変化がないため」が同数で最多。「上昇」は「インターネット通販(メーカー・小売りによるネット事業を含む)が需要を牽引するため」との見方がトップだった。
物流施設の賃料水準の見直し(半年後)(一五不動産情報サービスの資料より引用)※クリックで拡大
建築費高騰の収束、関係者の間で見方分かれる
業況判断DI(指数)は、価格が25・3ポイントで、前回(18年7月)から4・3ポイント上昇。賃料水準が18・7ポイントと前回から13・7ポイントアップ。前回調査から上がったのは3回連続。同社は大量供給が今年も続くとみられる中、「需給悪化による賃料下落を懸念する声は少ない」と解説している。
建築費高騰のピークはいつになるか予想を尋ねたところ、第1位の「19年7~12月」が26%、続いて「20年1~6月」が13%、「既にピークアウト」が12%などとなった。建築費の動向をめぐる見方が関係者の間で分かれていることをうかがわせた。
建築費のピーク時期(一五不動産情報サービスの資料より引用)※クリックで拡大
(藤原秀行)
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