北欧のIoT大手テレノールコネクション、日本の物流業界支援に意欲

北欧のIoT大手テレノールコネクション、日本の物流業界支援に意欲

CEOらが来日会見で表明、トラック運行管理への活用に注目

北欧の通信大手Telenor(テレノール)グループでIoT事業を手掛けるTelenor Connection(テレノールコネクション)のマッツ・ルンドクヴィストCEO(最高経営責任者)と日本・韓国地域責任者のリハルド・ギメシ氏は11月16日、東京都内で記者会見し、日本の事業戦略などについて説明した。

ルンドクヴィストCEOは、自社で調査した結果、アジア太平洋地域の企業の20%で、今後12カ月以内に50万台以上のデバイスがIoT接続されるとの見通しを披露。国境を越えて事業展開している場合でも、世界180カ国以上で400を超える通信事業者と連携するなど、広範囲な通信ネットワークを構築しているテレノールグループのインフラを使い、安定してIoT接続できるのが大きなメリットと強調し、日本を含むアジア太平洋地域のIoTニーズに十分応えられるとの見解を示した。

また、既に日本では日立建機と協力関係にあり、140カ国で30万台の重機にIoT用のSIMを提供しているほか、自動車業界向けにもIoTサービスを提供していることに言及。日本でも物流業界向けにIoTを使った業務効率化の面で貢献できると事業拡大に自信を見せた。


会見するルンドクヴィストCEO

ルンドクヴィストCEOは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的感染拡大)を脱して、グローバルのIoT市場はファンダメンタルズ(基礎的条件)が良好になっていると解説し、モバイル端末向けのIoT市場規模は2021年から27年までに8%の成長が見込まれているとの調査結果などを引用。コロナ禍を受けた遠隔監視システムのニーズの高まりやサプライチェーンの強靭化のための設備投資意欲の持続といった前向きな要因を挙げ、IoT市場の成長性の高さをアピールした。

具体的な取り組みの1つとして、スウェーデンのボルボやスカニアが手掛けるトラックなどのユーザー向けに、通信機能のある車載器を使って現在地などの情報を把握、車両の運行管理を支援するサービスを提供し、燃料の使用削減や輸配送ルートの効率化といった実績を挙げてきたと説明。「スカーニャの業績全体が改善する成果を得られた」とサービスの効果を指摘した。

その上で、「自動車以外の製造業にも注力していきたい。例えばポンプやエアコンといった設備、もう1つはロジスティクスに利用いただけるIoTも有望だ。国際的にIoTを実現するためのお手伝いもしたい」と解説。日本の物流業界でも、ボルボやスカニアと同様のサービスを展開できる可能性に触れた。

ギメシ氏は「アジア太平洋地域はこれまでIoTで後れを取っていたが、今後は加速度的な成長が期待できる」と展望。サプライチェーンのデジタル化などを通じ、高品質でセキュリティーを強化したテレノールコネクションのIoTへのニーズが見込まれると期待をのぞかせた。

2018~22年で日本事業の営業利益が40%増えていることなどを踏まえ、今後物流などの領域にIoT利用を働き掛けていく姿勢を強調した。

(藤原秀行)

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