3Dマッピングで工程間の自律走行実現、年間に人件費最大240万円削減見込む
ベアリングリテーナーやコンベア、無人搬送機器を展開する中⻄金属工業とロボット開発を担うagbee(埼玉県川越市)は1月12日、中西金属工業本社に併設するプレス加工用金型製造工場にagbeeが研究開発している屋内外対応AMR(自律搬送ロボット)「Carting agbee(カーティング・アグビー)」を導入したと発表した。
最終的には3棟にわたる建屋間搬送を目標に掲げており、今回は第1フェーズとして1棟の建屋内搬送に取り入れた。
同工場では従来、作業員が台車を押し、複数の加工工程間で金型を搬送していた。この工程の自動化が狙い。
作業員がタブレット端末を操作し、事前に設定した走行ルートの中から1つを選択することで簡単に使用可能。3Dで認識した障害物を避けられる上、磁気テープなどの誘導体を必要としないため、工場のレイアウトに合わせて容易に導入できる。
agbeeのAMRを用いることで、省力化や省人化、物流効率化、安全性の向上を期待。具体的な費用対効果として、運搬に関わる人件費を年間最大240万円削減できると見込む。
今後予定している第2フェーズでは、3棟の各建屋出入口でのドア連携を実施し、屋内外の搬送を一気通貫して達成する計画。2023年春の導入を想定しており、導入効果は年間最大720万円の人件費削減が可能とみている。
屋内外対応AMR「Carting agbee」は、2023年春発売予定。発売モデルは防水・防塵機能(IP65相当)を搭載し、雨天利用に対応する計画。現在、発売前の製品(β版)をお試しで使用するユーザーを募集している。
2014年、中西金属工業と慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科で共同プロジェクトを立ち上げ、中西金属工業各事業部から選抜された5人のメンバーでチームが発足した。農業分野をターゲットとし、実際に農業を営む農家さんへ訪問、デザイン思考を用いたエスノグラフィー調査を実施。複数の試作機を製作し、展示会に出展する活動を繰り返し行った。
19年、本格事業化に伴いスピンアウトする形で会社化。現在は農業だけでなく、昨今急速に自動化が進む工場・倉庫に向け製品を展開していくことを念頭に置いている。
(藤原秀行)※いずれも中西金属工業提供