深夜走行分のみに限定、適用時間は拡大
東日本、中日本、西日本の高速道路運営3社は1月20日、深夜割引など高速道路料金の見直しを発表した。
国土交通省の社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会が2021年に出した中間答申で、深夜割引の内容見直しなどを検討するよう求めたのに対応。国土交通省とも調整した結果、適用時間帯を拡大する一方で、適用時間帯の中で走った部分のみを割引対象とする。見直しは2024年度中をめどに実施する予定。
深夜割引は現在、並行する一般道路の混雑緩和の沿道環境改善を目的に、午前0~4時の間、高速道路をETCで通行する車両を対象に3割引きを実施している。
しかし、対象時間帯に少しでも走れば午前o時までや午前4時以降に走行した分の料金も割引対象となるため、深夜割引となる時間帯を待つトラックなどでIC付近が渋滞が発生。トラックドライバーの負荷軽減へ深夜の走行を抑える必要もあることから、中間答申に基づき、割引適用時間帯の走行分のみ3割引とし、割引適用時間帯について現行の「午前0~4時」を「午後10時~翌朝5時」へ拡大することにした。
(国交省資料より引用)
深夜割引の見直しに合わせて、長距離運行の料金負担を軽減するため、400km超の長距離逓減制の内容を変更。現在は100~200kmが25%、それ以上は30%となっている料金引き下げ率を、400~600kmは40%、600~800kmは45%、それ以上は50%と拡充する。
なお、深夜割引見直し運用開始後の激変緩和措置(5年程度)として、深夜割引適用車両のうち1000km以上走行した場合はその1000kmを超える部分を割引対象走行分に追加するほか、午後10時台に高速道路を出た車両について午後10時台に走行した分は、深夜割引の割引率を2割とすることも打ち出している。
今回の見直しに際し、深夜割引を「ETCマイレージサービス」または「ETCコーポレートカード」への後日還元型による割引制度に変更する。長距離逓減制の拡充は変更の対象外。
高速道路3社は今回の見直しについて「割引適用時間帯の走行分を把握するため、高速道路上へのETC無線通信専用アンテナの設置やシステム改修などを行う必要があり、現下の世界的な半導体不足の影響により、導入時期に影響を及ぼす場合がある」と説明している。
(藤原秀行)