新開の特殊輸送ノウハウとセイノーが持つ強力な路線ネットワークを融合
新開トランスポートシステムズ(STS)とセイノーホールディングス(HD)は3月1日、物流サービスの差別化とシナジー創出に向けて業務提携契約を締結したと発表した。
電子機器や通信機器など特殊・精密製品の輸送を得意とするSTS、全国に強力な輸送ネットワークを持ち国内トップクラスのシェアを誇る大手路線事業者のセイノーHDが手を組み、双方のノウハウを生かして顧客基盤の拡大と新規分野への展開を図る。
STSは1909年の創業以来100年以上にわたって古くは電子計算機・交換機、また近年ではコンピューターや通信機器、医療機器、製造設備など特殊なノウハウ・技術が求められる精密機器物流で多様なサービスの提供と実績を積み上げてきた。
セイノーHDは路線大手の一角として20万社以上の法人顧客と取引があるほか、ロジスティクス事業では豊富な自社車両と合計約70万平方メートルの倉庫を生かした「ロジ・トランス」と称するサービスが3PL市場で高く評価されている。
それぞれが持つ強みを有機的に結び付けることによって国内外のビジネスで補完機能を果たし、顧客に付加価値の高い新たな物流サービスを提供することで持続的な成長を目指していく。国内の貨物輸送量は少子高齢化の進展により減少していくと予想されていることから、今後より一層激化するとみられる市場環境を踏まえ先手を打った形だ。
業務提携を通じてSTSは輸送や荷役など基本的な物流機能を軸に、特殊な場所での搬出入作業、保守パーツ物流、キッティング、通信工事、包装設計、製造請け負い、廃棄物回収などを組み合わせたサービスを全国に提供できるようになる。
一方、セイノーHDは自社のアセットとネットワークに特殊輸送のノウハウ、ITによる情報を連携させることで、ファクトリー機能など顧客に最適なサプライチェーンマネジメントの提案を見込んでいる。
新規分野への展開としては
▽今後導入が予定されるスマートフォン向け第5世代移動通信システム(5G) に使用する基地局などの電子機器
▽急速に普及が進む電気自動車(EV)およびハイブリット車向けバッテリー、モーター、コントローラーなどの自動車部品
▽内視鏡、MRI、外科手術機器などの先進医療機器
▽日本全国で展開が進むデータセンター向けサーバーなどの電子機器
――を挙げ、これらについても両社で協力して取り組んでいく考え。
(鳥羽俊一)