LNG調達コスト上昇懸念
東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険の大手損害保険会社3社が、ロシア領海を運航する船舶向けに戦争で受けた損害を補償する「船舶戦争保険」の保険料を8割程度と大幅に引き上げる方針を固めたことが分かった。1月下旬から適用する方向。
ロシアのウクライナ侵攻が長期化し、終結する見通しも立たないため、保険会社の保険金支払いを支援する海外の再保険会社が、保険料を値上げしたため。
船舶戦争保険に関しては2022年末、海外の再保険会社がリスクの引き受けを拒否したため、損保大手3社がいったん引き受けを停止する方針を固めた。その後、引き受けがストップすると、海外からのLNG(液化天然ガス)などの輸入に支障が出る恐れがあるため、経済産業省資源エネルギー庁や金融庁が再考を要請。3社は再保険会社と交渉した結果、1月以降も船舶戦争保険を提供できることになった。
保険料の大幅引き上げで、ロシア領海で船舶を運航する事業者にとっては負担が増えることになる。LNGの調達コストも上がり、電気料金などへの影響が懸念される。
また、海外の再保険会社が今年4月以降もリスクを引き受け続けるかどうかは不透明。継続できなければロシア極東で日本が参加している石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」からのLNG調達にも影響が出る可能性がある。
(藤原秀行)