安藤社長が事業計画説明会で強調、「新時代も運びきる」達成目指す
キリングループロジスティクス(KGL)は2月8日、東京都内の本社で、メディア向けに2023年の事業計画説明会を開催した。
KGLの安藤弘之社長は、現行の中期経営計画の初年度(1~12月)となった2022年を振り返り、キリングループの酒類や飲料などのピーク時でも安定的に輸配送と納品を進められる「輸配送完遂目標」を達成できたと説明。
23年に関しては、トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」への対応を念頭に置きながら、KGLが2027年の在りたい姿として掲げている「知恵と創意工夫で新しい時代も運びきっている」の達成に向け、輸送力を維持・拡大する「輸配送戦略」と最適な物流拠点運営を果たす「拠点戦略」を着実に推し進める方針を表明。
①「実輸配送(貨物)を減らす」
②「トラック台数を過不足なく確保する」
③「限られたトラックを効率的に活用する」
――の3点に注力する姿勢を強調した。
説明会に臨む安藤社長
「前々日受注」の効果最大化へ夜間荷役作業削減など業務改革推進
安藤社長は22年の歩みに関し「内外で非常に厳しい環境の中でも、売り上げは計画に足りていないが前年並みを確保し、黒字も達成できた」と成果を強調。
物流事業の基礎となる安全面でも22年12月末時点で、人とフォークの接触、車両からの転落、動く物への手出しの「3大物流災害」は884日連続で、出荷禁止品の出荷や法定印字違反の「2大品質事故」は600日連続ゼロを継続できていると指摘。「大きな問題なく商品を運びきれたのではないか」と評価した。
23年の具体策として、輸配送戦略は「実輸配送(貨物)を減らす」の観点からモーダルシフトやバウンド(中継)輸送の展開による長距離輸送の削減、取引先店舗向け輸配送の平準化などを列挙。
「トラック台数を過不足なく確保する」は、2024年問題をにらんでトラック運賃改定を準備し、1000社余りに及ぶ協力運送会社との連携を強化するほか、荷物量の変動に合わせた効率的な配送計画の策定などを打ち出した。
「限られたトラックを効率的に活用する」は、顧客の物流拠点などでのトラック待機時間や付帯作業の削減といった事項を挙げた。
一方、「拠点戦略」としては、「実輸配送(貨物)を減らす」ため、愛知県あま市での新たなキリンビバレッジ専用物流拠点開設、各拠点での自動化・省力化機器の採用などを進める意向を表明。「トラック台数を過不足なく確保する」はドライバーの休憩所充実など待遇改善を、「限られたトラックを効率的に活用する」は構内滞留時間の削減や作業員の安全確保などをそれぞれ盛り込んだ。
また、以前から取り組んでいる、出荷日の前々日受注をオペレーションの基本とする「D+2」の効果を最大化するため、荷役作業を夜間から日中へシフトしたり、集配車両の配置・運行を最適化したりと業務改革を継続させることも提示している。
KGLの説明資料
人材育成や業務のデジタル化としては、配車を担う「人財」の育成強化、AGF(自動フォークリフト)やAGV(自動搬送ロボット)への投資、RPA(ロボット・プロセス・オートメーション)の採用、配車システムの刷新などを推し進める考えを表明。車両誘導や画像解析といった先進技術を取り入れていくことも目指すスタンスを明示した。
現場の安全性強化へ、自社で独自に活動する「安全技術センター」の設置を検討するほか、特定の災害に絞らず多様な事態を想定した「オールハザード型BCP(事業継続計画)」の導入などをうたっていることを明らかにした。
(藤原秀行)