さび止めで、「人体への影響なし」と説明
中国のEV(電気自動車)大手、比亜迪(BYD)の日本法人ビーワイディージャパン(BYDジャパン)は2月23日、日本国内で販売しているEVバスの部品の一部に化学物質の六価クロムを使用していると発表した。
六価クロムは金属表面のさびを防ぐ特性があるため、自動車部品のめっき処理などに使われてきたが、毒性が強く人体に悪影響を及ぼすとして欧州などで使用を規制。日本では使用を制限する法規制はないが、日本自動車工業会が2008年から自主規制として自動車への使用を禁じている。
BYDのEVバスをめぐっては、日野自動車が3月までに発売する予定だった小型EVバスの発売を急遽取りやめると発表。この小型EVバスはBYDが日野自動車向けにOEM(相手先ブランドによる生産)で供給することになっていた。日刊自動車新聞など主要メディアは部品に六価クロムが使われていることが原因と報じていた。
BYDジャパンによると、EVバスのボルトやナット類の防錆剤として六価クロムを含んだ溶剤を一部使用しているという。BYDジャパンは「車両製造後、通常の車両運用においては、乗員・乗客および整備メンテナンス担当者への影響はない。また、廃車時においては、当社が指定するリサイクル事業者を通じて当該物質の無害化処理を行った上で処分するため、環境への影響もない」と説明。
同時に、23年末に日本国内で納車を予定している新型 EVバスに関しては、日本自動車工業会の自主規制に準拠した素材で車両を製造・販売すると強調。1月に日本で販売を始めた乗用車に関しても、BYD本社と連携し、六価クロムが使用されているかどうか調査を進めているという。
BYDは電動フォークリフトやEV商用バンも手掛けているが、今回の騒動では言及されていない。
(藤原秀行)