埼玉・秩父で路線バス使った「貨客混載」の買い物支援実証実験

埼玉・秩父で路線バス使った「貨客混載」の買い物支援実証実験

人口減少で小売店減少をカバー、24年度のサービス実装目指す

埼玉県の「秩父市生活交通・物流融合推進協議会」(会長・小野田弘士早稲田大学教授)は3月6日、秩父市の大滝地域で3月3日、路線バスを使った貨客混載による買い物支援の実証実験を行ったと発表した。

同地域は人口減少で生活品などを購入できる小売店が減り、高齢化に伴う運転免許証の返納もあって、購入先や購入品の選択肢が限られており、日常生活の維持に課題を抱えている。

同協議会では山間地域の課題解決に向け、2020年11月から新たな技術などを取り入れて物流・公共交通のネットワークを維持する「秩父モデル」の構築に取り組んでいる。今回の実証実験もその一環。

■本実証実験の概要

実証実験は、スーパーマーケット「ベルク」が展開しているインターネットスーパーに商品を注文。定時・定路線で運行している既存の路線バスに注文商品を積み込み、大滝地域の個人宅へ配送した。

<具体的な流れ>
① 住民が、ベルクネットスーパー(WebまたはFAX注文)のいずれかの方法で、商品を注文する。
② 注文を受けたベルク秩父影森店が、注文を確認後、商品を梱包する。
③ ヤマト運輸が、ベルクで商品を集荷、「西武秩父駅」まで配送、「西武秩父駅」発の路線バスに積み込む。
④ 西武観光バスが、貨客混載で「西武秩父駅」~「大滝温泉遊湯館」まで商品を運ぶ。
⑤ アズコムデータセキュリティが「大滝温泉遊湯館」でバスから荷物を引き取る。ゼンリン住宅地図を活用したナビゲーションアプリで、配達ルートを作成し、そのルートを基に大滝地域の個人宅へ配送する。

昨年度の実証実験で課題となっていた「荷物引き継ぎ時のオペレーション」を、実装を見据えて調整し、今回はスムーズに完了できたという。

今年度は実証実験を通じて得られた成果を踏まえ、買い物支援サービスのオペレーションやコスト面での課題を抽出・整理。2023度以降は、今年度に同協議会で実施した「埼玉県秩父市の山間地域における共同配送サービス」と連携し、1つの物流サービスモデルとして実装を目指す。

同協議会は20年11月設立。今年3月6日現在、秩父市、ゼンリン、三菱総合研究所、JP楽天ロジスティクス、西武ホールディングス、西武鉄道、西武観光バス、アズコムデータセキュリティ、オプナス、早稲田大学、東京電力パワーグリッド、本庄早稲田国際リサーチパーク、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の15者が参加している。

物流、生活交通、観光交通、医療といった多様な分野のサービスについて、「ドローン物流」「遠隔医療」「MaaS」(貨客混載・EVカーシェアリング)などの先端技術を活用して人と物の移動を最適化・効率化し、政府が推す「Society5.0社会」の実現に向けた事業モデルを構築することを目標に掲げている。

(藤原秀行)※写真は同協議会提供

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