首都圏地盤の食品スーパー4社、2024年問題など物流危機回避へ「研究会」立ち上げ★続報

首都圏地盤の食品スーパー4社、2024年問題など物流危機回避へ「研究会」立ち上げ★続報

定番商品の発注時間見直しや納品期限緩和など推進も宣言

首都圏を地盤とするサミット、マルエツ、ヤオコー、ライフコーポレーションの食品スーパー4社は3月16日、東京都内で記者会見し、物流現場の人手不足などを踏まえ、業務効率化を促進するための「首都圏SM物流研究会」を同日付で立ち上げると発表した。

4社は日本スーパーマーケット協会の首都圏正副会長会社を務めており、2022年8月に「4社物流協議会」を設立。物流領域の抱える課題の解決策について議論を進めてきた。

トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」などを踏まえ、今後、研究会に移行し、商品が店舗や消費者に届けられなくなる物流危機の回避へ取り組みをさらに深めることにした。

4社は併せて、「持続可能な食品物流構築に向けた取り組み宣言」を発表した。研究会を軸にして加工食品の定番商品の発注時間見直し、特売品・新商品の発注・納品リードタイムの確保、納品期限の緩和(「2分の1ルール」の採用)、流通BMS(ビジネスメッセージ標準)による業務効率化を図る。

研究会では、4社が既に合意している「特売・新商品の6営業日以上の発注・リードタイム確保」の徹底、導入している流通BMSの積極活用による「検品・伝票レス」促進などの方策を協議していく予定。第1回の会合は4月12日を予定している。

会見の冒頭、ライフコーポレーションの岩崎高治社長は「今回のような取り組みを他にもぜひ水平展開していきたい」と述べ、4社以外の食品スーパーにも参加を呼び掛ける可能性に言及した。

サミットの服部哲也社長は「現在われわれがやっていることが過剰だったり非効率だったりするのではないかとの観点で取り組みを進める」と語った。

ヤオコーの川野澄人社長は「サプライチェーンを今の状態で維持していくのは難しいと考えている。食品ロスの問題も企業の枠を超えて取り組まないといけない課題と認識している」と研究会立ち上げの背景を説明した。

マルエツの本間正治社長は「物流は大きな問題として認識している。研究会を通して途切れることのない食品供給を維持することに取り組んでいきたい」と決意を示した。

会見に同席した経済産業省の中野剛志消費・流通政策課長兼物流企画室長は「流通のビジネスモデルを30年ぶりくらいに変革する話になる」と取り組みの意義を強調。農林水産省の武田裕紀新事業・食品産業部食品流通課長は「(これまでの)4社の取り組みは食品流通でかなりの成功例になっている」と期待を示した。

質疑応答で、共同配送や物流センターの共同利用に踏み込む可能性を問われたのに対し、サミットの服部社長は「可能性は全然否定するものではないが、かなりハードルは高いと思っている」との見方を示し、研究会での議題に上る可能性を示唆。

ライフコーポレーションの岩崎社長は「(共同物流以外のことも含めて)簡単じゃないと思うが、簡単じゃないことに対してチャレンジしていこうと一歩踏み出したところをぜひ高くご評価いただき、温かくご支援いただきたい」と語った。


会見後の撮影に応じる(左から)サミット・服部氏、マルエツ・本間氏、ヤオコー・川野氏、ライフコーポレーション・岩崎氏

(藤原秀行)

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