【独自・動画】物流施設デベロッパー、庫内の縦搬送自動化を率先し提案

【独自・動画】物流施設デベロッパー、庫内の縦搬送自動化を率先し提案

野村不動産と三井物産都市開発、神奈川・愛川町の共同開発案件で先駆的取り組み

野村不動産と三井物産都市開発は、神奈川県愛甲郡愛川町で共同開発した物流施設「LOGIBASE(ロジベース)厚木愛川町」で、新たな試みとして、庫内の異なるフロア間で商品を搬送する作業の自動化ソリューションを自らテナント企業に提案する予定だ。あくまでテナント企業への無償サービスとして紹介した上で、テナント企業が採用を決めればロボットメーカーへのリース料を払う仕組み。

ZMPのAGV(自動搬送ロボット)「CarriRo(キャリロ)」シリーズと、不二輸送機工業の垂直搬送機をシステム連携させ、AGVが自動で垂直搬送機に乗り込んで違う階に移動、指定した場所まで届けることを可能にしている。

LOGIBASE厚木愛川町は最近多く見られるランプウェイ付きの案件とは異なるボックス型で、一般的に異なる階層間の搬送に負荷が掛かるとの懸念が根強いが、野村不動産と三井物産都市開発は縦方向の搬送を自動化できる道筋を自ら示すことで、テナント企業の業務効率化支援にまで踏み込むことを視野に入れている。

デベロッパーが物流施設の庫内作業自動化の具体的なソリューションを無償で紹介するのは非常に異例。都市部を中心に物流施設の大量供給が進み、テナント獲得競争が厳しくなる中、デベロッパーとして物流業界の人手不足などの課題解決まで率先して後押しすることで、物流施設事業の付加価値を高めていきたい考えだ。


「LOGIBASE厚木愛川町」の外観

野村不動産と三井物産都市開発が展開する自動化ソリューションは、ZMPのAGVでパレットの下に潜り込んで持ち上げ搬送する「CarriRo AD+」を採用。AGVが商品の載ったパレットを持ち上げ、垂直搬送機で異なる階の間を移動する。野村不動産と三井物産都市開発は夜間に自動で荷降ろしを済ませておくなど、現場の省力化につなげられると見込む。

野村不動産は自動化機器の効率的な活用で物流オペレーションを最適化するため、2021年4月に独自の活動「Techrum(テクラム)」をスタートした。自動化機器の単なるセールスではなく、参加企業の連携や組み合わせなどによる課題解決ときめ細かいソリューションの創出を目指している。今回の自動化ソリューションは野村不動産がこれまでのテクラムの活動で得られた知見を生かした格好だ。三井物産都市開発も自動化ソリューションの価値に賛同、共同でテナントに提案していくことで一致した。

2月に実施したLOGIBASE厚木愛川町の企業向け内覧会で初めて今回の自動化ソリューションを披露し、来場者から関心を集めたという。野村不動産は他の作業についても同じく、自動化ソリューションを構築、提案していくことを念頭に置いている。


垂直搬送機に乗ったパレットを自動で降ろそうとするAGV(野村不動産がYouTubeで公開の動画をキャプチャー)

(藤原秀行)

物流施設/不動産カテゴリの最新記事