ドローン物流市場、本格的な立ち上げは25年度以降と展望

ドローン物流市場、本格的な立ち上げは25年度以降と展望

インプレス総研のビジネス市場動向調査、「レベル4」解禁で28年度に9000億円超予想

インプレスグループでIT関連メディア事業を展開するインプレスのシンクタンク部門、インプレス総合研究所は3月22日、国内のドローンビジネス市場の動向に関する調査結果を取りまとめた。

2022年度の日本国内のドローンビジネス市場規模は3086億円と推測。21年度の2308億円から778億円拡大した。市場規模は前年度比で33.7%増えた。

23年度には24.0%増の3828億円、28年度には9340億円に達すると見込む。年間平均成長率(2022~28年度)に換算すると、年20.3%増えるとみている。

物流分野は全国で実証実験をはじめとした取り組みが数多く行われており、社会実装に向けた課題の洗い出しが進んでいると言及。まだ事業の採算性や運用体制の構築などの課題もあるものの、2025年度以降に市場が本格的に立ち上がっていくとの展望を示している。


国内のドローンビジネス市場規模の予測    

分野別に見ると、2022年度はサービス市場が前年度比38.4%増の1587億円で最も大きい市場規模となっている。また、機体市場は22.4%増の848億円、周辺サービス市場は39.3%増の652億円と想定している。

各市場は今後も拡大が見込まれ、28年度にはサービス市場が5615億円(2022~28年度の年間平均成長率23.4%増)と最も成長し、機体市場が2188億円(同17.1%増)、周辺サービス市場が1538億円(同15.3%増)に達する見込み。

サービス市場のうち、点検分野や農業分野においては、現場への実装に想定よりも時間を要しており、昨年度の推計より成長に遅れが見られるが、その他の市場や分野は昨年度の見込み通りの成長になるとみている。

2023年度は航空法上の機体認証制度に対応した、機体・型式認証を取得するドローンが増えることが予想されると指摘。昨年12月に政府が解禁した、ドローンが有人地帯上空を目視外で飛ぶ「レベル4」に欠かせない一種機体認証に加えて、利用者にとって操縦者技能証明との組み合わせで許可・承認を省略できる二種機体認証のドローンが登場すると予測している。


サービス市場の分野別市場規模(いずれもインプレス総合研究所提供)      

サービス市場は23年度以降、プラントや大規模建造物の外壁や天井裏、さらには風力発電設備の点検といった分野の伸びが見込まれると分析。農業は20年から加速している農薬散布がさらに伸びを見せているほか、林業でも資材や苗木の運搬、森林の調査などに活用が広がっていると説明している。

インプレスは調査結果をまとめた新産業調査レポート「ドローンビジネス調査報告書2023」を3月27日に発売する予定。

(藤原秀行)

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