コスモグループ、タイのエネルギー企業バンチャックと環境負荷低い航空燃料SAFの取り扱い拡大など共同検討へ

コスモグループ、タイのエネルギー企業バンチャックと環境負荷低い航空燃料SAFの取り扱い拡大など共同検討へ

調達先の多様化狙い、バイオナフサなどでも連携検討

コスモエネルギーホールディングス(HD)は3月24日、傘下のコスモ石油とタイのBangchak(バンチャック)の3社が3月23日付で、持続可能な航空燃料(SAF)やバイオナフサなどの脱炭素分野を中心とした共同検討に関する覚書を締結したと発表した。

共同検討を行う対象の領域は、バンチャック社が生産するSAF、バイオナフサ、バイオエタノールの3製品をコスモグループが輸入、活用することに加え、低炭素水素の活用・輸送、CCUS(CO2の回収・貯留・有効利用)、潤滑油関連基材と設定している。

バンチャックは石油精製・販売、再生可能エネルギー(電力)、バイオマス燃料製造・販売、天然資源開発の各事業を展開しているタイの大手総合エネルギー企業の1つ。コスモグループは製油所部門を中心に、技術交流を通じて協力関係にある。

双方が培った技術や強みを活用し、将来の脱炭素事業の可能性について共同で検討していくのが狙い。

コスモグループは「2050年カーボンネットゼロ宣言」の実現に向け、低炭素エネルギーに関する事業ポートフォリオの拡充を推進。SAF事業は2030年の供給目標として年間30万kLを目指している。その手段として、バンチャック生産品のSAF輸入を検討し、自社生産を含めた調達ソースの多角化を図ることが重要と判断した。

バンチャック24年末ごろ商業開始予定のSAF製造事業を計画しており、そのSAFの輸入を検討する。また、SAF製造事業計画の副産品のバイオナフサは、石油由来のナフサに代わるプラスチックなどの低炭素な原料として注目されており、輸入活用を視野に入れる。

加えて、コスモグループが計画するAlcohol to Jet技術を活用したバイオエタノール原料のSAF事業について、バンチャックが生産するバイオエタノール輸入の可能性も考慮していく予定。いずれの事業検討でも、同じアジア圏に位置するタイは物流コストを抑えられる利点があることに着目している。

低炭素水素事業は、グリーン水素やブルー水素など、生産過程の炭素排出量を最小限に抑えた水素の活用や輸送技術・方法に関して共同で議論していく方針。

バンチャックは1984年創設。バンコク市内に製油所を保有、同国内に1343カ所(2021年時点)のサービスステーションを展開している。関連会社を通じて、太陽光、風力、水力発電の再生可能エネルギー事業、バイオマス燃料(バイオエタノール、バイオディーゼル)事業、天然資源開発も手掛けている。

(藤原秀行)

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