OKI、店舗向けトラック配送のAI最適計画作成サービスを開始

OKI、店舗向けトラック配送のAI最適計画作成サービスを開始

ロンコ・ジャパンのシステムと連携、実証実験でコストなど8%削減確認

沖電気工業(OKI)は3月27日、AI技術を活用してトラック配送の最適なルート計画作成を支援するSaaS(Software as a Services)サービス「LocoMoses(ロコモーゼ)」の販売を開始すると発表した。

OKIが独自に開発した「コスト最小型ルート配送最適化AI」を活用。コストを抑えながら最適な積載量や配送ルートを迅速に自動立案するのが特徴。配送時のCO2排出削減にも貢献できると見込む。運送事業者が使っている配車管理システム(TMS)にロコモーゼの機能を取り入れる方式で利用してもらうことを基本とする。

OKIは新サービスの展開で、トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」やドライバー不足、燃料費高止まり、配車業務の属人化など、運送業界が抱えている多様な課題の解決促進を図る。


ロコモーゼの配送イメージ

ロコモーゼは配送先に複数台のトラックで分けて荷物を届けることで、1つのトラックで1つの配送先に輸送するより積載率向上やルート短縮を実現する「分割配送」の手法を採用。熟練社員の配車技量をAIに学習させ、あらかじめ渋滞が起きやすいルートは除外したり、設定した基準に従って配送区間ごとに高速道路を利用するかどうかを選択したりするといった機能を持たせている。


分割配送のイメージ

OKIは関西を地盤とする運送事業者のロンコ・ジャパン(大阪市)と協力し、同社が販売している配車システム「ラーク」と連携させて提供、2027年度に2億円の売り上げを目指す。

併せて、他の物流事業者の配車システムとも組み合わせたり、他の配送ルート最適化システムとAPI連携したりすることも視野に入れている。


ロンコ・ジャパンのトラック(いずれもOKIプレスリリースより引用)

OKIは20年からロンコ・ジャパンと組み、配車計画最適化サービスの実用化に取り組んできた。22年にロンコ・ジャパンの実際の配送業務に投入して実証実験を行った結果、車両台数15台、配送先店舗約50カ所の場合、走行距離やコストが年間ベースで8%削減できたという。

東京都内のOKI本社で同日、記者会見した同社の藤原雄彦執行役員(イノベーション責任者兼技術責任者)は「まず市場で困っている積載率やルート組みの最適化から始めて、幹線輸送や倉庫内をDXでつなげ、最終的にフィジカルインターネットに持っていくことを考えている」と述べ、物流業界支援の拡大を目指す姿勢を強調。

同社の井上肇執行役員(社会インフラソリューション事業部長)は誰でも短時間で熟練者と同等以上の配送計画を作成できるようになると意義を説明した。

ロンコ・ジャパンの福西靖之社長は「物流を止めないよう、日本の物流に少しでも光を差せるよう、これからもOKIさんと取り組んでいきたい」と意気込みを語った。


会見後の撮影に応じる(左から)OKI・井上氏、藤原氏、ロンコ・ジャパン・福西氏

(藤原秀行)

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