「2024年問題」、対応実施の割合は荷主と物流事業者で明確に差

「2024年問題」、対応実施の割合は荷主と物流事業者で明確に差

Hacobuネット調査、「行っていない」も一定数存在

Hacobuは4月5日、荷主企業や物流事業者を対象に実施した、トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」に関する意識調査結果を公表した。

この問題を意識していると答えた割合は全体の9割超に達している一方、対策については「あまり行っていない」と「行っていない」で3割に上るなど、問題が1年後に迫っているにも関わらず、危機感に行動が伴っていない企業が一定数存在することをうかがわせた。

荷主企業と物流事業者を分けて見ると、物流事業者に比べて荷主企業の方が、対策に遅れが見られることが分かった。

具体的な対策としては、既に講じたものとしては物流センターでの荷待ち・荷役時間の削減、ドライバーの労働時間改善など、これから実施したいと考えているものは物流DXツール導入による生産性向上・業務効率化やパートナー・発注先の見直しなどがそれぞれ上位を占めた。

調査は1月25日~2月7日、Hacobuのニュースレターを登録している事業者を対象に実施、253人から回答を得た。

大企業が取り組みで先行

調査結果によると、「2024年問題」を意識しているかどうかについて聞いたところ、「意識している」が74.3%、「少し意識している」が16.6%に達した。「あまり意識していない」は5.5%、「意識していない」は2.4%、「物流の『2024年問題』をよく知らない」が1.2%だった。

半面、対策を行っているかどうかについて尋ねた結果、「行っている」が24.9%、「やや行っている」が39.9%で6割を超えたものの、「あまり行っていない」が23.7%、「行っていない」も11.5%だった。3社に1社程度が、対策を講じていないか、十分講じてはいないことになる。

企業規模別では、「行っている」と「やや行っている」の合計は、従業員300人未満(n=89)が57.3%、300~999人(n=67)が58.2%とほぼ同水準なのに対し、1000人以上(n=97)は76.3%と際立った。

荷主企業と物流事業者を分けると、対策を「行っている」と「やや行っている」の合計が、物流事業者(n=99)は74.8%だが、荷主企業(n=132)は56.8%で20ポイント近い差が出た。

対策を行っていない、またはあまり行っていないと答えた企業に理由を聞いたところ(n=55)、「危機感を持っていない」が32.7%で最も多く、「対策を検討している・情報収集段階である」(29.1%)、「解決策を見出せない・具体策が固まらない」(25.5%)、「自社だけではどうにもできない」(7.3%)、「予算の問題でできていない」(5.5%)と続いた。

対策の具体的中身について質問したところ(複数回答可)、既に行っているものは「ドライバーの荷待ち及び荷役時間の削減」が40.7%でトップ。「ドライバーの労働時間の改善・働き方改革の推進」(36.4%)、「物流DXツール導入による生産性向上・業務効率化」(24.9%)、「人材育成」と「採用・求人の強化」(ともに24.1%)などが続いた。

これから行いたいものは「「物流DXツール導入による生産性向上・業務効率化」」が首位で54.5%。次いで「パートナー・発注先の見直し」(52.2%)、「サービス・商品の見直し」(49.8%)、「社内外への広報・周知の強化」(47.4%)などとなった。


(いずれもHacobu発表資料より引用)

(藤原秀行)

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