7月めどサービス開始へ準備、空きスペースの有効活用図る
三菱商事やプロロジス、三井不動産、三菱地所などが出資しているGaussy(ガウシー)が、空いている倉庫スペースと預けたい荷物をインターネット上でマッチングするシェアリング倉庫サービス「WareX(ウェアエックス)」で、新たに企業が自ら保有している「自家倉庫」の空きスペースも取り扱う対象に加えることが分かった。
現状は賃貸用の「営業倉庫」の空きスペースを対象にWareXを展開している。Gaussyはかねて、自家倉庫に関しても空きスペースが増えていることから、企業が抱える資産の有効活用や商品の保管効率向上を促進するため、マッチングの対象に加える検討を進めていた。
倉庫業を所管する国土交通省と調整を続け、自家倉庫をマッチング対象にしても法令に抵触しない仕組みを構築できたため、サービス開始に踏み切る。
近く自家倉庫を対象に、WareXへの空きスペース登録の受付を開始し、今年7月をめどにマッチングを本格的に始める見通し。繁忙期の一時的な倉庫利用ニーズにもより迅速に対応できるようになるなど、物流領域の生産性向上につながりそうだ。
倉庫は、第三者から荷物を預かるため倉庫業法に基づき国土交通省への登録が義務付けられ、防火や防塵などの対策が細かく規定されている「営業倉庫」と、自社の商品などのみ保管しておくため登録が不要な「自家倉庫」がある。自家倉庫は営業倉庫ほど規定が厳しくないが、取り扱うのが自社の荷物に限定されるため、第三者に保管スペースを貸し出すことはできない。
Gaussyは、国内の自家倉庫は面積が約1億2200万㎡で営業倉庫の2倍程度の規模があると推計。その一方、自家倉庫は面積の4割程度が空いているとみており、有効活用できる余地は大きいと期待している。
倉庫を所管する国交省と調整を続け、倉庫業法に抵触しないよう、まず自家倉庫の保有者がGaussyと業務委託契約を結んで倉庫を賃貸に出した上で、さらにGaussyが倉庫利用者と業務委託契約を再び結び直し、賃貸する形を取ることにした。
Gaussyは自家倉庫を登録する際に独自の基準を設け、防火設備やセキュリティー機器の整備度合いが基準に達していない場合は登録を拒否するなど、安全・セキュリティーの面で営業倉庫に劣らないよう配慮する。Gaussy自身が損害保険に加入し、万が一のトラブル時に補償できるようにすることも準備している。
WareXは2021年5月にサービスを開始。当初は三菱商事本体でサービスを手掛けていたが、22年に事業を分社化し、プロロジスなどが出資した。登録している倉庫は1000カ所を超え、食品やアパレル、日用雑貨品のほか、建築資材などの取り扱いも増えている。
(藤原秀行)