帝国データバンク調査、全体では前年比3.4倍で過去最高
帝国データバンクは4月10日、原材料や燃料の価格上昇などで経営破綻に至った「物価高倒産」が2022年度は463件で、前年度の136件から3.4倍に達したとの調査結果を公表した。
年度ベースで400件を超えたのは初めてで、過去最高となった。原油価格の高騰などが民間企業の経営に色濃く影を落としていることがあらためて浮き彫りになった。
物価高倒産 月別発生件数 推移
物価高倒産の定義は、法的整理(倒産)企業のうち、原油や燃料、原材料などの「仕入れ価格上昇」、取引先からの値下げ圧力などで価格転嫁できなかった「値上げ難」などにより、収益が維持できずに倒産した企業と設定、集計した。
業種別に見ると、「製造業」(96件)がトップで、「建設業」(94件)、「運輸・通信業」(83件)、「卸売業」(69件)、「小売業」(58件)と続いた。
業種詳細別では「運輸業」(83件)が首位となった。以下、「総合工事業」(51件)、「食料品製造」(43件)「職別工事業」(28件)、「飲食料品小売」(27件)が続き、価格転嫁率の低い業種が目立った。
負債規模別では、最も多かったのが「1億~5億円未満」で205件。次いで「1000万~5000万円未満」(84件)、「5000万~1億円未満」(78件)となった。帝国データバンクは「中規模以上の倒産が目立ち、近時は大型倒産も発生している」と指摘している。
要因別の集計では、22年度は「原材料」が37.4%で最多。次いで、「エネルギーコスト」(23.7%)、「包装・資材」(20.4%)と続いた。「原材料」に起因する倒産の多くは食品関連事業者が目立ち、「エネルギーコスト」に起因する倒産は、運輸業者が大部分を占めているという。
22年度の物価高に起因し、価格転嫁が叶わない「価格転嫁難」倒産は、少なくとも47件を確認した。
(藤原秀行)※いずれも帝国データバンク提供