【現地取材】山九、東京・お台場エリアに輸出入貨物対応の「次世代型」新倉庫開設

【現地取材】山九、東京・お台場エリアに輸出入貨物対応の「次世代型」新倉庫開設

スペース1.4万㎡でコンテナ貨物対応重視、環境負荷低減に注力

山九は4月12日、東京都江東区青海に開設した新たな倉庫「お台場輸出入センター」の内覧会を開催した。

同倉庫は地上6階建て(倉庫部分は5階建て)、延床面積は1万6117㎡で、このうち倉庫は1万3480㎡。

東京港のコンテナターミナルに近接している立地を生かし、輸出入貨物の物流ニーズに対応できるよう、平屋で老朽化が目立っていた既存倉庫を建て替えて高層化し、倉庫スペースを従来の約4倍に相当する規模に拡大。定温倉庫も備えるなど、機能を大幅に高めている。銀座などの都心部や羽田空港へも車で20分圏内に位置している。

併せて、物流業界も脱炭素を強く求められている現状を考慮し、省エネルギー設備や太陽光発電システムを積極的に採用。CO2排出を抑制し、環境負荷を大きく減らす次世代倉庫として運営する計画だ。


倉庫の外観

山九の中村公大社長は内覧会に先立って開催した記念式典であいさつし、「新しい時代のための倉庫として、われわれのお客様はもとより日本経済に対して新たなサポートができる倉庫としてリニューアルした。物流課題の解決や環境課題への貢献を通じて、お客様や社会への新しいニーズにお応えできるサービスを提供していく所存だ」との決意を示した。


中村社長

新倉庫は表側に車両7台分のコンテナバースを設置するとともに、裏側にもトラックバースを設け、トラックから降ろした荷物をそのまま積み込めるよう動線を工夫。1階は高床式で、コンテナバースにはドックレベラー7基を設置している。うちコンテナ用の4基には荷積み完了後、閉じたドックレベラーからフォークリフトの落下を防止するセーフティリップを採用、安全にも配慮している。

現在は1、3、5階が保税倉庫となっており、最終的には全フロアを保税倉庫に移行することを計画している。4階は20~25℃の定温倉庫で、化成品や美術品などの取り扱いを想定。山九の東京支店が手掛けているイベント品の保管・輸送の業務にも使用する考えという。

併せて、大型の荷物用エレベーター1基、自動車・荷物兼用エレベーター1基、垂直搬送機2基を設置している。従業員にも優しい設備として、ハンディキャップ用トイレやスロープ、女性用シャワールームなどを配置した。


定温倉庫のスペース

環境面では、100%以上の1次消費エネルギー消費削減率を実現し、同社としては初めて自社拠点で「ZEB認証」を取得。屋上には150kwの太陽光発電設備を備え、晴天時には館内全ての電力を賄う計画という。倉庫の稼働後は消費状況によっては蓄電などの運用も検討する。このほか、断熱パネルの増厚や人感センサー付き照明の導入などを通じ、消費エネルギーの削減にも努めている。


屋上の太陽光発電設備

山九の和田奈津樹東京支店長は「東京支店では平和島のマルチテナント型の物流センターが最大だが、輸出入貨物で言えば新倉庫が最大になる。青海、大井のコンテナターミナルに近く、設備としてもコンテナ用のドックレベラーを設けるなど特にコンテナ貨物に対応した倉庫となっている。都心にも近いということで、ストックポイント、一時保管の役割が期待できるのではないかと考えている。定温庫も設置し、お客様のニーズに幅広く対応できる」とメリットを強調した。


和田氏

(川本真希、藤原秀行)

物流施設/不動産カテゴリの最新記事