JILS荷主調査概要、21年度実績で
日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は4月28日、製造業などの荷主企業を対象とした「2022年度物流コスト調査報告書」の概要を公表した。調査結果は原則として21年度の実績値を指している。
この中で、輸送費などの物流コスト上昇分を自社製品に価格転嫁できているかどうかを尋ねたところ、「対応できた」「少し対応できた」の合計が6割を超えた一方、未対応も3割超に上った。
労働力不足対応のためのDXなどの推進は企業の4割超、「アフターコロナ」に向けたビジネスモデルの転換は5割超、混乱するグローバルサプライチェーンには3割超が「未対応」と回答しており、荷主企業が諸課題に悩みながらも対応しようと苦慮していることをうかがわせた。
調査は22年7~12月、荷主企業にアンケート調査票を送付した。
「物流コスト上昇分の価格転嫁」(144社)は、「対応できた」が16.4%、「少し対応できた」が49.6%、「未対応」が34.0%だった。
「労働力不足対応のためのDXなどの推進」(149社)は「対応できた」が10.2%、「少し対応できた」と「未対応」がともに44.9%となった。
「アフターコロナに向けたビジネスモデルの転換」(133社)は「対応できた」が11.2%、「少し対応できた」が38.4%、「未対応」が50.4%に上った。「未対応」の割合が最も大きかった。
「混乱するグローバルサプライチェーンへの対応:(135社)は「対応できた」が14.8%、「少し対応できた」が49.0%、「未対応」が36.2%だった。
2021年度時点の設問として、トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」を知っているかどうか尋ねた結果、184社のうち「はい」は96.7%で、「いいえ」の3.3%を圧倒。対応は進められているかどうかを聞くと、「はい」が72.8%で、「いいえ」の27.2%を大きく引き離した。
回答企業の売上高に占める物流コストの比率は全業種平均で5.31%(有効回答数195社)となり、前年度調査結果から0.39ポイント低下した。前年度の実績を下回ったのは19年度調査以来、3年ぶり。数値自体は、昨年12月公表の速報版と変わっていない。
(藤原秀行)