「標準的な運賃」、トラック運送事業者の5割が交渉時に提示・活用

「標準的な運賃」、トラック運送事業者の5割が交渉時に提示・活用

国交省調査、制度延長は7割が希望

国土交通省は5月12日、トラック運送事業者らが荷主企業や元請け運送事業者と運賃交渉する際の目安にしてもらうため、改正貨物自動車運送事業法に基づき2020年4月に告示した「標準的な運賃」の活用状況に関するアンケート調査結果を公表した。

調査は今年2~3月に実施、全日本トラック協会の会員事業者4401社が回答した。2022年度に運賃交渉したトラック運送事業者のうち、「標準的な運賃を提示している」(21%)と「標準的な運賃を考慮した自社運賃を提示している」(27%)を足すと5割近くに達した。

標準的な運賃ではないが、「具体的な値上げ幅や値上げ率を提示している」を選択した事業者(20%)も含めると69%に達した。「新たな運賃は提示していない(既存の自社運賃を継続)」は31%だった。

この69%の事業者のうち、「希望額を収受できた」は30%、「一部収受できた」は33%だった。ともに「収受できなかった」(10%)、「交渉自体に応じてもらえなかった」(5%)、「交渉中」(8%)を上回った。

一方、「新たな運賃は提示していない(既存の自社運賃を継続)」を選んだ事業者に、提示しなかった理由を尋ねたところ(複数回答)、「真荷主または元請け事業者から契約が打ち切られる恐れを考慮」が60%、「真荷主の経営状況を考慮」が40%、「その他」が33%、「交渉に当たる人材、時間的制約」が22%となった。

昨年1~3月に実施した、21年度の運賃交渉に関する同様の調査では、「標準的な運賃を提示している」が17%、「標準的な運賃を考慮した自社運賃を提示している」が35%で、「新たな運賃は提示していない(既存の自社運賃を継続)」が48%だった。「具体的な値上げ幅や値上げ率を提示している」の選択肢はなかった。直接的な比較は難しいが、トラック運送事業者の間で一定程度の運賃値上げの回答を得られていることがうかがえた。

標準的な運賃を提示したり、考慮した自社運賃を提示したりしたと答えた事業者のうち、「理解を得られた」は6%、「一定の理解を得られた」が27%で、「現在交渉中」は40%、「理解を得られなかった」が25%だった。

また、標準的な運賃の「金額や原価計算の方法を理解している」は43%、「金額のみ理解している」が40%、「名称のみ知っている・聞いたことがある」が16%となった。

標準的な運賃の原価計算方法を考慮して原価計算した事業者は20%、自社独自の方法で原価計算したのは59%、原価計算を実施していないのは21%に上った。

標準的な運賃は改正貨物自動車運送事業法で24年3月末までの時限措置と定められている。制度の延長を望むかどうかについては、76%が「希望する」と答え、「希望しない」の24%を大きく上回った。

(藤原秀行)

調査結果はコチラから(国交省ホームページ)

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