国内の新拠点稼働や業務効率化促進が奏功
ニチレイロジグループ本社は5月15日、東京都内の本社で2022年度の事業報告会を開催した。
22年度(23年3月期)の連結業績は売上高が前期比9%増の2442億円、営業利益が4%増の151億円だったと説明。国内で冷凍食品関連の物流を包括的に請け負う「冷食物流プラットフォーム」の取り扱いが伸びたことや、欧州で買収した物流企業が収益に貢献したことなどから増収増益を確保した。
23年度(24年3月期)は連結売上高を2550億円、営業利益を153億円と予想。国内の新設拠点稼働による売り上げの伸びを見込むほか、業務効率化促進でコスト抑制を図ることなどで、現行の中期経営企画で想定している数値より売上高は120億円、営業利益は2億円上振れすると見込む。
23年度以降の施策として、海外事業の収益拡大に向け、ポーランドのワルシャワ市街地から約30kmのノヴィドゥヴル市で、現地子会社のフリゴロジスティクスが運営する、約2万パレットの設備能力を持つ新倉庫を2024年下期に稼働させる計画を公表。同じくニチレイロジグループ本社傘下のアルミールロジスティカの拠点にも近接しており、2社のシナジー効果が創出できると説明した。
また、マレーシアは現地法人2社の連携を強化し、低温物流需要を開拓するほか、既に進出を公表したベトナムについても、合弁パートナーと連携し、人口の増加が見込まれるホーチミンエリアで24年度中に冷凍冷蔵倉庫の新設を計画していることをあらためて表明。冷凍・冷蔵・定温の3温度帯で約2万パレットの能力を備え、保管と急速凍結、クロスドックも可能にすることに言及した。
以前から続けている業務革新に関しては、成果として新たにRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)で事務作業を年間36万時間達成したことや、トラックの入庫時間予約機能を国内の50拠点に導入完了したことなどを列挙。23年度はリモートワーク環境下でRPA化体制を構築することや、完全予約制を導入した30拠点に関して予約車両の60%で待機時間を30分以内に抑えること、冷凍食品の取り扱いがメーンの17拠点でタブレット端末を使った出荷検品機能を導入することを挙げた。
さらに、冷凍冷蔵庫向けAGV(無人搬送ロボット)などを活用した庫内作業の自動化の取り組みを引き続き推進することや、拠点内で従業員がデスクワークや企画管理、顧客窓口といった複数の業務を相互に担える制度を展開し、作業負荷分散と業務効率化を目指すことも紹介した。
(藤原秀行)