日本郵便と古野電気、日本初の航海用電子ログブック(航海日誌)サービスに関わる基本合意書を締結

日本郵便と古野電気、日本初の航海用電子ログブック(航海日誌)サービスに関わる基本合意書を締結

業務のDX化で乗組員の負荷軽減に貢献

日本郵船と商船やレジャーボートなどの自動航行システムを手掛ける古野電気(兵庫県西宮市)は5月15日、日本企業で初めて航海用電子ログブック(航海日誌)サービスに関わる基本合意書を4月末に締結したと発表した。


基本合意書締結式典に臨んだ(左から)古野電気・矮松一磨上席執行役員舶用機器事業部長、日本郵船・樋口久也常務執行役員、日本海洋科学・赤峯浩一社長

近年、世界的な船員の不足や高齢化を受け、船員の労働負荷軽減が喫緊の課題となっており、IoT技術を使用した貨物倉の常時監視や船舶の無人運航など、船舶の先進化・業務効率化に関する研究開発が進んでいる。

ログブックは船舶運航に関する事項を記録する書類を指し、海難事故が発生した際の証拠として保全される重要書類。いまだ手書きで運用されているため、作業負担の大きさや記載内容の正確性確保が難点だった。

古野電気が開発した航海用電子ログブック「EL-100」は、海事領域で多様なコンサルティングを担う日本海洋科学(川崎市)のコンサルティングを受け、現場経験豊かな船長の知見を盛り込んだ設計を実現。船舶に搭載されている航海計器との接続により、船員が手書きで行っていた記録、計算といった単純業務の多くを自動化できるため、メリットが期待される。

ログブックは航海計器から取得したデータの自動入力と運航データの自動計算を実施。事前に策定した航海計画を確認するチェックリスト方式による記録漏れ防止も図る必要がある。

今後は日本郵船グループが運航管理する船舶に本製品を搭載し、まずトライアルを展開。そこで得たデータや乗組員からのフィードバックを反映し、サービスの品質向上を図る。

古野電気は日本郵船へ新製品を導入した後、各社の実態に合わせたテンプレートを活用して販売先を拡大することを予定している。日本郵船は船上業務のさらなるDX化を推し進めようと、今回の船舶用電子ログブックに関する基本合意書の締結はその一環となっている。今後は船舶、船主、船舶管理会社が一体となった新たな安全運航システムの構築を目指す。

(藤原秀行)

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