宅配の再配達率「半減」の新目標設定
政府は6月2日午前、トラックドライバーの長時間労働規制が強化され、物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」への対応を協議する「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」の会合を首相官邸で開き、今後実施する政策をパッケージとして取りまとめ、公表した。
既に政府の審議会などで議論、方向性が固まっている内容をあらためて記載したものも多く含んでいる。
政策パッケージは、一定規模以上の荷主企業や物流事業者に物流センターでのトラックドライバーの待機時間削減など物流現場の負荷軽減に関する取り組みを義務付け、対応が不十分な場合は是正を勧告・命令できる規制的措置の実現に取り組むことや、その前段として、業界・分野別に「自主行動計画」を作成し、2023年度中に前倒しで実施することを図るとともに、運送契約に含まれる荷待ち・荷役といった範囲を明確化し、正当な対価の収受を促進することを盛り込んでいる。
また、「トラックGメン(仮称)」を設置し、発荷主と着荷主の双方を対象とし、適正な取引を阻害する疑いのある荷主企業・元請事業者の監視を強化することも打ち出している。
さらに、宅配の再配達率を半減させるとの新たな目標を設定、緊急的な対策を講じることも明記。物流業界から強い不満が出ていた、インターネット通販などでの「送料無料」の表示についても、運賃・料金が消費者向けの送料に適正に転嫁・反映されるべきとの観点から見直しに取り組むと強調している。
物流現場の負荷増大につながる商慣習の見直しとして、食品を製造した日から賞味期限までの期間の3分の1の間にスーパーなどへの納品が求められる「3分の1ルール」や、特に日販品で受発注後翌日納品を求める短いリードタイムなどを列挙。小売事業者らに対応を求めるとともに、食品ガイドラインの提示や自主行動計画の作成などで2023年度中に荷主企業が前倒しで具体策を実施することを図ると説明している。
会議に出席した岸田文雄首相(左橋)ら関係閣僚(首相官邸ホームページより引用)
(藤原秀行)