危機管理サービスと地図データなど連携、価値創出目指す
防災テックベンチャーのSpectee(スペクティ)は6月16日、ゼンリンのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)、ゼンリンフューチャーパートナーズが運営しているファンドからの出資を受け入れ、ゼンリングループの持つ様々なアセットを活用した事業連携を検討することが決まったと発表した。具体的な出資額は開示していない。
スペクティは災害発生時にSNS上の投稿や気象データ、全国の道路・河川カメラの情報、自動車の走行データ(プローブデータ)などを収集・解析し、災害などによる被害状況をリアルタイムに可視化・予測するサービスを展開。AIを活用した危機管理サービス「Spectee Pro(スペクティプロ)」は、全国900を超える企業や自治体などが採用している。
ゼンリンは「知・時空間情報の創造により、人びとの生活に貢献します」を企業理念に掲げ、国内トップシェアを誇る地図データの提供に加え、関連するソフトウェア開発やサービス提供の展開を通して地方創生、スマートモビリティー実現に向けた取り組みを推進している。ゼンリンの100%出資CVCのゼンリンフューチャーパートナーズは、ベンチャーの最先端技術や革新的なビジネスモデルとゼンリングループの経営資源を融合し、「位置情報を活用した新たな価値創造」を果たしていくことを念頭に置いている。
ゼンリンフューチャーパートナーズはリスクを可視化するスペクティのサービスは、ゼンリンの保有する住宅地図データベースやハザードマップとのシナジーが期待できると判断、出資に踏み切った。スペクティとしても、ゼンリングループとの連携は災害やリスク情報を地図上に可視化するのに役立つのに加え、情報の正確性担保や「Spectee Pro」ユーザーへのピンポイントな情報提供に有効と期待している。
(藤原秀行)