携帯電話事業苦戦で株価低迷、物流の協業に影響も
日本郵政が2023年4~6月期に、保有する楽天グループ株式の減損処理を迫られる公算が大きくなっている。楽天は中軸のインターネット通販が堅調なものの、新規参入した携帯電話事業で設備投資がかさんでいることなどから赤字が続き、株価が低迷しているためだ。
減損の幅は最大で約800億円に上る可能性があるもよう。
日本郵政は2021年3月、物流事業の強化などを目指し、楽天と資本・業務提携。日本郵政が楽天に約1500億円を出資した。しかし、楽天の株価は出資した当時の1500円台から、直近は500円前後と3分の1程度に低迷している。
企業の会計ルールは保有する株式の価格が取得した時点より50%以上下がり、今後も本格的に回復する見込みがない場合、減損処理する。日本郵政は今後、ルールに基づいて減損処理するかどうかを判断する。
日本郵政は楽天と組むことで物流の効率化や取り扱い量拡大につなげられると期待。共同出資で物流会社を設立するなど連携を続けているが、減損処理に追い込まれれば協業の戦略に影響する可能性がある。
日本郵政は2017年にも、買収したオーストラリアの物流大手トール・ホールディングスの業績悪化に伴い、約4000億円の損失を計上した。
2021年に提携を発表した楽天グループの三木谷浩史会長兼社長(左)と日本郵政の増田寛也社長
(藤原秀行)