モーダルシフトや付帯作業の基準明確化、中継・共同輸送のトライアルにも参加
タカラスタンダードは7月6日、トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴う物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」を受けた対応を公表した。
国土交通省トラック輸送状況の実態調査(令和3年)
同社商品を積み込んだトラック
具体策として、物流センターにおける待機時間短縮、モーダルシフトの推進、付帯作業の明確化、中継輸送や共同輸送の検討のためのトライアル参加の4点を挙げた。
物流センターの待機時間短縮は2017年頃から取り組みを開始し、22年の待機時間は2時間7分と、15年比で約2時間短縮しほぼ半減した。
自動化設備として、出荷前の商品仮置き棚に自動倉庫を導入。商品取り出しがスムーズになることに加え、上階の作業者が、仮置きスペースが空くのを待つ時間もなくなり、作業時間全体の短縮につながった。特に、2022年度に自動倉庫を導入した東北物流センター(宮城県名取市)は、上階から荷物を降ろす作業のみが発生していた土曜日の倉庫内作業時間が約50%削減された。
福岡物流センター(福岡県鞍手町)では出荷する商品の場内搬送・荷揃え作業を無人フォークリフトによる作業に置き換え、夜間の無人の時間帯に実施。1日の作業時間を22年度は20年度より約90分短縮することに成功した。
このほか、ASN(事前出荷通知)データを利用し、ハンディターミナルを使った作業に変えることで、入庫作業の時間を短縮したり、WMS(倉庫管理システム)の刷新で到着時間に合わせてピッキング作業を完了できるようにしたりした。
輸配送能力に合わせて 1 日の出荷量の上限規制を行い、出荷量を平準化。荷主の配慮義務として運送事業者に協力するため、一部路線でのリードタイムを見直している。
モーダルシフトの推進は、鉄道輸送の拡大と合わせて一部の工場や倉庫間で積極的に海上輸送を実施しており、環境負荷の少ない海上輸送を一定以上の割合で利用している企業が取得できるエコシップマーク認定を取得済み。2022年10月には、新たにタカラ化工(滋賀県湖南市)と東北物流センターの間の輸送に鉄道輸送を導入した。
付帯作業の明確化は、ホーローなど重量のある素材が商品に使われていることが多く、1人で持ち運ぶのは困難なため、搬入時にドライバーの手を借りることがあるが、これまで搬入に関する付帯作業の範囲が明確化されていなかった。
トラックドライバーの長時間労働解消するとともに、拘束時間に関する基準の遵守など安全面、労務面でのコンプライアンスの確保や、取引環境の適正化を実現するため、付帯作業のオプションを明確化した。荷渡しに関する付帯作業の自社基準を見直し、全運送事業者との契約の再締結を進めている。2024年4月の契約再締結完了を目指している。
このほか、デンソーの商品を積載する荷台(コンテナ)部分を着脱できるスワップボディコンテナ車両を用いた幹線中継輸送サービス「SLOC」の実証実験に参加するとともに、荷物の大きさや形状が様々で一般的な消費財よりも共同輸送が難しかった業界で、日本パレットレンタル(JPR)による「TranOpt」とコミュニティでの対話を通じて共同輸送に挑んでいる。参加しているのはアクタス、オープンロジ、Koala Sleep Japan、ビックロジサービス、タカラスタンダードの各社。
(藤原秀行)※いずれもタカラスタンダード提供