ライオンやユニリーバなど主要日用品メーカーと卸、入出荷作業迅速化へタッグ

ライオンやユニリーバなど主要日用品メーカーと卸、入出荷作業迅速化へタッグ

プラネットのシステム活用、商品データ事前共有目指す

日用品などの主要メーカーと大手卸が、トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴う物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」などの課題に対応するため、共同で商品の入出荷作業を迅速化する取り組みを準備していることが分かった。

小売・卸業界など向けに企業間取引の電子化を手掛けているプラネットのEDI(電子データ交換)システムを活用。メーカーが商品を発送する際、商品の数量などのデータを事前に卸と共有し、受け入れる卸が倉庫の作業時間を短縮化できるようにすることを想定している。

メーカーと卸は2023年中をめどに、新たな取り組みを本格的に開始したい考えで、他のメーカーなどにも参加を呼び掛ける方針。

関係筋によると、現時点で出荷作業効率化を目指しているメーカーはライオン、エステー、ユニリーバ・ジャパン、小林製薬、牛乳石鹸共進社、サンスター、ユニ・チャーム。卸はPALTACとあらたが加わる方向という。

プラネットのEDIシステムを採用しているメーカーは卸から商品の販売データを受け取っている。今後はメーカーからEDIシステムを経由し、卸に出荷情報を積極的に出せるようにする。

以前はメーカーと卸の間で商品出荷の情報を事前に十分共有できておらず、受け入れる卸の倉庫では、納品伝票と実際に届いた製品の段ボールを1個ずつ突き合わせて確認するなど、検品に時間を要していた。

プラネットのシステムを活用することで、トラックに積載している商品の内容や数量をデータの形で卸が把握、荷下ろしの作業時間を大幅に短縮できると見込む。

プラネットとライオン、PALTACが共同で、システムを生かした商品発送情報の共有化に関する実証実験を行った結果、荷下ろしの時間を最大で従来比約4割短縮できたという。

メーカーの間では、トラックドライバー不足の深刻化などを考慮し、共同物流に踏み込む動きが出ている。今回のシステム活用の取り組みと並行して、各社間の共同物流が加速する可能性もある。

政府は6月、「2024年問題」に対応するため発荷主事業者・着荷主事業者・物流事業者が早急に取り組むべき事項を盛り込んだ「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」を公表。

この中で、トラックドライバーの1運行当たりの荷待ち、荷役作業などに要する時間が計約3時間に及んでいるため、各荷主事業者の業務効率化で1時間以上短縮し「2時間以内」とするため発荷主事業者と着荷主事業者に対して、荷待ちや荷役作業などにかかる時間を把握した上で、2時間以内に短縮するよう要請。達成した場合や既に2時間以内となっている場合には1時間以内を目標にして、一層の時間短縮に努めることを明記している。

(藤原秀行)

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