トヨタ、「2024年問題」対応で協力会社の輸送料金引き上げ

トヨタ、「2024年問題」対応で協力会社の輸送料金引き上げ

国内の完成車や部品物流が対象、長時間労働規制強化でもドライバーの年収維持図る

トヨタ自動車は7月25日、トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴い物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」への対応を公表した。

同問題の大きな課題の1つとして、労働時間抑制でトラックドライバーの収入が減ることが危惧されている点を考慮し、協力物流会社に支払う輸送の料金(運賃)を引き上げていることを説明した。燃油代などの高騰に加え、人件費の上昇も考慮し、順次交渉を進めているという。

これまでにも燃油代などの上昇を受けて料金を見直すことはあったが、全般的なコストアップを踏まえ、ドライバーの年収減回避のため広範囲の物流会社向けに料金を改定するのはトヨタグループで例がないという。トヨタは料金値上げによるコストアップ分を、物流業務の効率化による経費抑制でカバーしていくことを目指す。

トヨタ担当者は「2024年問題は日本の製造業にとって本当に危機的状況と感じている。今やれることをしっかりやっていく」と料金見直しの狙いを説明した。

同社は併せて、2019年に自動車部品はサプライヤーに製造拠点へ輸送してもらう形から、サプライヤーへトヨタ側から受け取りに行く引き取り物流に切り替える方針を発表したことを受けた進捗状況を報告。東海エリアでは対象拠点の約14割で引き取り物流への転換が完了しているほか、東北や九州のエリアはほぼ転換が済んでいるという。トヨタはなるべく早期に全国で実現していく方針を示した。

料金の引き上げは、まず2022年の下期以降、国内の完成車物流を担う協力物流会社に対して実施。さらに、23年下期以降、東海エリアで部品物流を手掛ける協力物流会社に関しても同様に値上げを行う計画という。

値上げの割合については、個々の企業ごとに交渉を進めており、事情が大きく異なることを理由に、詳細は開示していない。トヨタ担当者は「個別に丁寧に対応していく。それぞれのドライバーさんがご活躍いただけるような環境づくりを図る」と強調している。

同社はこれまでの物流業務効率化の取り組みについても紹介。フォークリフト活用など荷積み・荷降ろしの簡素化、複数社の荷物積み合わせによる積載率改善などを図っていることを明らかにした。

(藤原秀行)

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