業務効率化、人口減少の中山間地でネットワーク維持図る
セイノーホールディングス(HD)と福山通運、エアロネクストは8月2日、山梨県の小菅村、丹波山村、県を地盤とする富岳通運(山梨県甲府市)、エアロネクスト傘下でドローン物流などを手掛けるNEXT DELIVERYと連携し、小菅村・丹波山村への配送業務で連携すると発表した。
トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴い物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」を考慮。自治体と物流会社がタッグを組み、中山間地域の配送網維持・再構築を図るため、共同配送を開始する。
セイノーHDとエアロネクストは小菅村でドローンなどの先端技術と既存の陸送を組み合わせ、地域の物流ネットワーク維持を図る新スマート物流「SkyHub(スカイハブ)」を進めている。今後はSkyHubと共同配送を連携させ、配送業務の自動化・省人化を促進していきたい考え。
各者は今後、他の物流会社にも参加を呼び掛け、規模を広げていきたい構えだ。
小菅村と丹波山村の配送は現在、物流企業各社が麓の都留市、大月市の拠点から片道約40分を費やして山を登り、実施している。配送可能な商品数が少ないため、トラックの積載率が低いのが課題。今後、配送サービスの維持が一層困難となり、将来は物が欲しい時に届かない事態が起こる可能性が高まってる。
今後の協同配送は、福山通運が小菅村・丹波山村の配送商品を、富岳通運に持ち込んだ上で、富岳通運が既存の小菅村・丹波山村の配送車両に福山通運の配送商品を積み込む。
富岳通運は小菅村で荷物の混載拠点となるSkyHub小菅デポに福山通運の配送商品を回送(荷卸し)する。福山通運のロット商品は富岳通運で配送する。
NEXT DELIVERYは富岳通運が回送してきた配送商品(小口)を域内配送物と混載で、それぞれの村内の居住者に届ける。
各者は福山通運の配送車両削減により、CO2排出量を年間約3t減らせると試算。福山通運は配送エリアの見直しを図ることで、全体の労働時間の短縮、効率化につなげられると見込む。
富岳通運、NEXT DELIVERYはサービスの収益性改善、自治体は物流維持に加えて定住・移住促進にそれぞれつながると期待している。
共同配送の車両を前に集合写真
共同配送の車両を行う車両。左が富岳通運2t車、右がNEXT DELIVERY軽バン
富岳通運に配送商品を持ち込んだ福山通運の車両 (富岳通運都留支店)
セイノーHDやエアロネクストは配送スキームを定着させた上で、中山間エリアの共同配送モデルとして構築、全国の地域に展開していくことを視野に入れている。
(藤原秀行)※いずれもエアロネクスト提供