食品のEC拡大に対応、周辺の既存拠点機能集約
ヤマトホールディングス(HD)は8月3日にオンラインで開催した2023年度第1四半期(4~6月)決算説明会で、現行の中期経営計画に沿って取り組んでいる事業構造改革の進捗状況を公表した。
食品のEC拡大を踏まえ、新たにヤマトHDグループとして初めて、保冷専用の大型ラストマイル拠点「低温輸配送センター 東京南エリア」を今年6月、東京都品川区八潮でJR貨物と三井不動産が連携して開発した大規模物流施設「東京レールゲートEAST」内に開設したことを明らかにした。
契約面積は1万3355坪(約4万4150㎡)。既存の配送拠点の機能を集約し、BtoCの保冷輸送の取り扱い能力を拡大するとともに、BtoBの保冷輸送の需要も獲得を図る。
低温輸配送センター 東京南エリアが入る物流施設の外観(ヤマトHD決算説明資料より引用)
ヤマトHDの栗栖利蔵副社長は、東京の練馬エリアでも同様の大規模な保冷専用ラストマイル拠点を整備することを計画していると語った上で、食品メーカーや通販事業者らにサプライチェーン運営最適化による物流コスト抑制などのメリットを提供できると自信を見せた。
このほか、大型ラストマイル拠点の展開に合わせて、、業務量の変動に合わせた柔軟な配達エリア・コース設定の仕組み導入と、既に公表している配達特化型ドライバー(DD)の配置に向けた準備を推進していると強調。2024年3月期中に、既存拠点約270カ所を集約し、大型ラストマイル拠点15カ所を整備する方針を公表した。
全国の営業所は、今年6月末時点の3129から、24年3月末には約2800まで絞り込むとの見通しを示した。
日々の業務量変動に合わせた柔軟(ダイナミック)な配達エリア・コース設定の仕組み「ラストマイルマネジメントシステム」の開発を進めており、23年度下期に導入することを目指しているほか、第4四半期(24年1~3月)以降、主要都市部でDD配置などセールスドライバーの働き方・体制刷新により、集約効果の最大化を図る方針にあらためて言及した。
また、日本郵政グループと6月に協業で基本合意した中で、ヤマトがポストに入る小型の荷物を扱う「ネコポス」のサービスを10月から順次停止、日本郵便に配達を委託する件については、公表した通り、24年3月末をめどに全量を業務委託するとのスケジュールを説明。「クロネコDM便」も24年2月から全量業務委託するとの従来見通しをあらためて明かした。
(藤原秀行)