厚労省が22年の状況取りまとめ、改善基準告示違反は58.1%
厚生労働省は7月31日、全国の労働局や労働基準監督署が令和4年(2022年)にトラック、バス、タクシーといった自動車運転者を使用する事業場に対して行った監督指導や送検などの状況を取りまとめた。
監督指導を実施した3785事業場のうち労働基準関係法令違反があったと認められたのは83.0%に相当する3142事業場に達した。また、拘束時間を規制している「改善基準告示」違反を確認したのは53.8%の2037事業場だった。
全業種で労働基準関係法令違反事項のうち目立ったものは、「労働時間」が47.6%で最も多く、「割増賃金の支払い」(22.0%)、「時間把握」(9.2%)と続いた。
一方、主な改善基準告示違反事項は「最大拘束時間」(39.2%)、「総拘束時間」(30.3%)、「休息期間」(28.1%)となった。
重大・悪質な労働基準関係法令違反として送検したのは58件だった。
業種別のうち、全体の8割を占めるトラック事業者(3079事業場)に絞ると、労働基準関係法令違反を認めたのが82.8%の2549事業場。違反事項は「労働時間」が49.8%、「割増賃金」が20.5%、「時間把握」が9.1%となった。
改善基準告示に違反していたのは58.1%の1790事業場。「最大拘束時間」が42.8%、「総拘束時間」が32.9%、「休息期間」が31.7%、「連続運転時間」が29.7%、「最大運転時間」が22.3%だった。
トラック事業者で労働基準関係法令違反があった割合は、令和3年(2021年)が81.2%、令和2年(2020年)が81.4%。改善基準告示違反を認めた割合はそれぞれ57.8%、56.2%だった。ともに令和3年より割合が上昇した。
厚労省は22年12月23日の改善基準告示改正に伴い、都道府県労働局に「荷主特別対策チーム」を編成、長時間の恒常的な荷待ちを発生させないことなどについて、発着荷主らに対して要請していると強調。今後も厳正に監督指導を行う姿勢をアピールしている。
(藤原秀行)