国交省が審議会部会で言及
国土交通省は8月9日、東京・霞が関の同省内で社会資本整備審議会道路分科会の基本政策部会(部会長・石田東生筑波大学名誉教授)を開催し、自動運転トラックなど先進技術の実用化に向けた官民の取り組み状況を報告した。
既に公表している、2024年度の実施を予定している自動運転専用レーンを活用した新東名高速道路での自動運転トラック実証実験に関し、静岡県の駿河湾沼津SA~浜松SA間で深夜時間帯にレーンを設け、レベル4(特定エリア内での完全自動化)の自動運転を実施する方針を説明した。
また、一番左の第Ⅰ走行レーンを自動運転専用レーンとする方向で警察庁などと調整するほか、実証実験時に、自動運転トラックが本線へスムーズに合流できるかや、前方に落下物があった場合に適切に回避できるかといったポイントを確認する予定であることを明らかにした。
25年度以降は東北自動車道などでも実証実験を展開した上で、自動運転専用レーンを全国に展開していくことを検討したいとの考えも示した。
国交省は自動運転と並行して、既存の高速道路のうち、路肩や中央分離帯、地下などを物流に活用する「物理的分離専用レーン(空間)」についても、設置できるかどうか可能性を検討する方向性を示した。
その一環で参考として、中央分離帯などの空間に、自動でパレット輸送できる車両を走らせるイメージを紹介した。同様の輸送は、スイスでも地下トンネルを主要都市間で張り巡らせた上で、自動制御のパレット輸送車両が行き来する構想が進められており、国交省もこうした構想を念頭に置いている。
国交省は部会に提示した資料の中で「都市間を結ぶ高速道路において自動パレット輸送を導入することで、定時性確保や運転手不足対応等に有効な手段となる可能性(がある)。中央分離帯や路肩等の既存道路空間を自動パレット輸送専用路として利活用することにより、整備費用の縮減や用地確保の短縮等が見込まれ、ニーズや事業スキーム等と合わせて検討が必要」と言及した。
このほか、自動運転トラックの運転を自動と手動にそれぞれ切り替えるための専用拠点を設けることを想定しており、どのように国交省が整備を支援していくかについても検討する必要があるとの認識を示した。
(国交省資料より引用)
(藤原秀行)