DXプロジェクトで連携、高性能WMSで在庫をリアルタイムに可視化
中国のEC大手アリババ集団傘下でクラウドサービスなどを手掛けるアリババクラウドの日本法人アリババクラウド・ジャパンサービスは8月29日、企業と連携し、先進技術を生かして新たなサービスやソリューションの開発を目指す独自の活動「アリババクラウド DXラボ」を開始すると発表した。
当初はプログラムメンバーとして、東急不動産、「PEARLY GATES(パーリーゲイツ)」や「MARGARET HOWELL(マーガレット・ハウエル)」などのブランドを展開するアパレル大手のTSIホールディングスなどが参加。
併せて、ゲーム開発のJP GAMES、韓国のライブコマース大手LaLa Station(ララステーション)、ブロックチェーン技術を生かしたソリューションを手掛けるAvalanche(アバランチ)、Cloud Navi(クラウドナビ)などの企業が技術面で連携するテクノロジーパートナーとして参画。アニメーション、メタバース、ライブストリーミング、ブロックチェーン、ITサービスサポートなどの面でプログラムメンバーに協力する。
プログラムメンバーとテクノロジーメンバーは定期的に交流し、市場動向などの情報を共有、革新的なサービスやソリューションの開発を目指す。
ラボを起点とした第1弾の取り組みとして、アリババクラウドとTSIは海外の生産拠点から日本への輸入に関するアパレル物流のデジタル化・高度化を加速させる。アリババクラウドの高性能な倉庫管理システム(WMS)をTSIの物流拠点に採用し、商品在庫状況をリアルタイムで可視化できるようにする。今年3月に中国・上海とつながっている日本のクロスドック倉庫に導入、11月にはベトナムの倉庫にも取り入れるほか、他の複数の拠点でも活用することを予定している。
TSIはラボを通じてアリババクラウドとタッグを組み、商品の需要予測、RFIDを活用した物流現場の作業負荷軽減とリードタイム短縮、導入済みのAGV(無人搬送ロボット)とWMSのスムーズな連携などを推し進める計画。
TSIの物流センター(同社提供)
また、「2024年問題」を考慮し、現状は中国やASEAN(東南アジア諸国連合)から製品を関東へ直輸入し、そこから全国へ発送していたが、今後は関西や九州にも輸入ルートを設けることで、各地への輸送距離を短縮、トラックドライバーの長時間労働規制強化に対応していく構想を明らかにした。
東京都内で8月29日に記者会見したアリババクラウド・ジャパンサービスのユニーク・ソン カントリーマネージャーは「日本企業が越境ビジネスの機会をさらに拡大するため、DXラボにより新たな価値創造を支援する」とコメント。
TSIの渡辺啓之執行役員プラットフォーム本部副本部長は「生産物流だけでなく販売物流も含めた改革に取り組んでいきたい」と意気込みを語った。
(藤原秀行)