【現地取材】学生服大手のトンボが茨城・笠間に東日本初の物流拠点、「2024年問題」受け配送効率化図る

【現地取材】学生服大手のトンボが茨城・笠間に東日本初の物流拠点、「2024年問題」受け配送効率化図る

堅調市場の首都圏カバー、災害も考慮し安定供給体制確立狙い

学生服大手のトンボ(岡山市)は9月1日、茨城県笠間市の茨城中央工業団地内に新設した物流拠点「トンボ東京物流センター」をメディアなどに公開した。

地上2階建て、延床面積は約1万6500㎡。同社が東日本に自社運営の物流センターを設けるのは初めて。


トンボ東京物流センターの外観

常磐自動車道の友部SAスマートICに隣接しているほか、北関東自動車道の茨城町西ICから約4kmで、関東広域を管轄できる立地。主力の学生服や体操着を首都圏の学校に供給する基軸拠点として運用し、少子化が進む中でも人口が多く需要が引き続き見込める市場を強固にカバーしていきたい考え。

同社は岡山県内に2カ所の物流拠点を構えており、首都圏に関してはこの2カ所から学生服などを供給してきた。東西2エリア体制に移行することで首都圏向けの物流を効率化。トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴う物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」に対応する。大規模な災害が頻発しているのを踏まえ、学生服を安定的に供給できる体制を確立する狙いもある。

同社の藤原竜也社長は同日、現地で開催した竣工記念式典であいさつし、「2024年問題を受けた納品リードタイム(の改善)が課題だったが、ぎりぎり間に合わせることができた。首都圏市場への商品供給能力を大幅に強化できる」と新センター開設の意義を強調した。

東京物流センターは2018年に構想をスタートし、当初は20年の着工を計画していたが、新型コロナウイルス感染拡大で22年にずれ込んでいた。

事業費は約31億円。1階は入出荷や検収、アソート(仕分け)・加工などを手掛ける作業エリア、2階は商品保管エリアとして主に活用する。生徒それぞれのニーズに応じた裾上げや刺しゅう加工を行えるミシンを多数導入しているほか、コンベア式検針機などの先進機器も採用している。


1階の作業エリア


ミシンやコンベア式検針機などの先進機器が並ぶ

庫内作業を効率化するため、オートレーター(垂直搬送機)を2基設置、異なるフロア間で商品を迅速に移動させられるようにする。取り扱い物量拡大や人手不足をにらみ、AGV(自動搬送ロボット)をフロアに導入することも今後検討する見通し。

今後3年をかけて岡山の物流センター2カ所から東京物流センターに在庫を順次移管する。岡山の製造工場から学生服などを関東までトラックなどで長距離輸送する工程自体は変わらないものの、東京物流センターを構えたことで、細かく商品をピストン輸送しなくても、東京物流センターに随時、商品を送り込んでストックしておけば需要に応じて首都圏の学校などに適宜出荷していくことが可能になった。

東京物流センターでは1年目に首都圏の1250校、2年目に3500校分の商品出荷を手掛けることを計画。トンボは5年後をめどに東日本全域をカバーできる拠点へ拡張していくことも念頭に置いている。さらに、ECの出荷対応も視野に入れている。


2階の倉庫エリア


垂直搬送機


バース上には大きなひさしを取り付け、天候が悪くても作業できるようにしている

(藤原秀行)

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