出荷効率化で「2024年問題」にも対応
多種多様な建材サンプルを取り扱う米国発のマーケットサイト「Material Bank(マテリアルバンク)」を日本で事業展開しているDesignFuture Japan(デザイン・フューチャー・ジャパン、DFJ)は10月12日、サービスエリアを10月18日から全国に拡大し、「Material Bank Japan」として正式にサービスを始めると発表した。
建築やインテリアなどのデザイナーは「Material Bank Japan」ので欲しい建材サンプルを選択すれば、無料で配送してもらえる。マーケットサイトは建材サンプルを提供するメーカーから手数料を得て運営している。異なるブランドの建材をまとめて注文できるため、デザイナーが建材を選ぶ作業を簡略化できる上、建材のメーカーにとってもデザイナーへ効率的にサンプルを届けられるのが魅力。
千葉県市川市の物流センターでは、米国のロボットメーカーLocus Robotics(ローカスロボティクス)のAMR(自律移動ロボット)でピッキング作業を省力化・迅速化するなど、物流面でも工夫を凝らし、注文から最短で翌朝に発送している。正式サービス開始後も、午前零時までに注文すれば東名阪と関東エリアは最短で翌朝に届ける。それ以外のエリアも、午後6時までに注文すれば翌日に、週末の場合は日曜の午後3時までに注文すれば週明け月曜日に配達する。
「Material Bank Japan」は今年1月に実証事業を開始。設計事務所のデザイナーらに先行モニターとして参加してもらい、検証を進めてきた。当初は今春の正式サービススタートを念頭に置いていたが、4月末に利用状況を分析した結果、より深い検証を行うため、実証事業規模を拡大の上、実証事業期間を延長することを決定。需要が今後も見込めるとして、正式なサービス開始に踏み切る。
10月12日時点で取り扱っている建材のサンプルは200ブランドの5万SKU以上に達している。メーカーの協力を得て、今後も順次、サンプルの種類を拡充していくことを目指す。
東京都内で10月12日に記者会見したDFJの中沢剛CEO(最高経営責任者)は、先行モニターの利用状況を分析した結果、デザイナーが建材サンプルの調達に業務時間の3割程度を費やしていると指摘し、「Material Bank Japan」を活用することで設計などにより専念できるようになると効果を強調。「デザイナーの方々の満足度を高めていきたい」と意気込みを語った。また、複数の建材サンプルも1つの箱にまとめて発送しており、物流の効率化で「2024年問題」にも対応できるとの見方を示した。
会見後の撮影に応じるDFJの中沢CEO(左)と「Material Bank Japan」の検証に参加している永山祐子建築設計の花摘知祐氏
「Material Bank Japan」はデザイナーがサイトで注文する際に直接問い合わせできるブランド担当者が登録しており、現時点で500人を超えている。デザイナーらが同じサンプルを手に取りながら話し合いができるよう、配送先を複数箇所に指定することにも対応している。
サンプルが入った発送の箱はそのまま返送用の箱としても利用できるようにしており、環境負荷低減を図っている。
さらに、DFJは建築・インテリアデザイン業界の課題改善に資するための環境レポート提供プログラム「Carbon Impact Program(カーボン・インパクト・プログラム)」を展開しており、建材サンプル活用にどのような環境課題があって「Material Bank Japan」を利用することで各社がどのような改善につなげられるかを可視化するリポートを作成、各社のサステナビリティリポート作成などに役立ててもらうことを想定している。賛同企業は28社に達しており、中沢CEOは50社まで増えるとの見通しを示した。
Carbon Impact Program賛同企業一覧(五十音順)
アイリスチトセ株式会社 株式会社アルス 株式会社 エイムクリエイツ 株式会社大林組 栗生明+北川・上田総合計画 株式会社 コクヨ株式会社 コクヨマーケティング株式会社 株式会社 J.フロント建装 株式会社JOKE. 株式会社 スペース 株式会社 船場 株式会社タカラスペースデザイン 大日本印刷株式会社 ダイヤオフィスシステム株式会社 |
株式会社丹青社 株式会社ディー・サイン 株式会社東急設計コンサルタント TOPPAN株式会社 有限会社永山祐子建築設計 株式会社乃村工藝社 株式会社バウハウス丸栄 株式会社パルコスペースシステムズ 株式会社プラックス FREEDOM株式会社 三井デザインテック株式会社 株式会社 山下設計 株式会社ラックランド 株式会社 類設計室 |
(藤原秀行)