大西洋域の輸送時に採用視野、温室効果ガスの大幅削減目指す
商船三井は10月25日、ドイツのHy2gen Deutschland(ハイツージェン・ドイツ)と、温室効果ガス排出量削減効果が期待できる「e-メタノール」利用の共同検討に関する覚書を締結したと発表した。
ハイツージェンがドイツのニーダーザクセン州で展開するプロジェクトで、2028年に生産開始予定のe-メタノールを大西洋域の海上輸送舶用燃料に採用することを視野に入れている。
e-メタノールは回収されたCO2と再生可能エネルギーで生成した水素を合成して作り出す。重油などの舶用燃料より温室効果ガス排出量を大幅に削減することが可能。
ハイツージェンが開発するe-メタノール生産プラントのイメージ(プレスリリースより引用)
商船三井は「商船三井グループ 環境ビジョン2.2」を策定し、2050年までの温室効果ガス排出量ネットゼロ・エミッション達成を目標に設定。主要戦略の1つに「クリーン代替燃料の導入」を位置付け、30年までにLNG/メタノール燃料外航船を90隻投入することを目指している。
メタノール燃料が舶用クリーン代替燃料として世界的に関心が高まる中、今後商船三井グループは、メタノール燃料船の導入を進めるとともにメタノール燃料の供給網構築にも貢献することで、脱炭素化の実現に向けた社会全体の取り組みの一翼を担う考え。
ハイツージェンは非生物由来の再生可能燃料を生産するプラントの開発・運営などを手掛けるHy2gen AGの子会社。e-メタノールをはじめ、グリーンアンモニアや水素ベースの合成航空燃料など、製造に再生可能エネルギーを使うことで温室効果ガスを出さない「グリーン水素」を用いた製品範囲全体を専門としている。
(藤原秀行)