危険度が高い拠点を瞬時にリストアップ、店舗・倉庫・工場の迅速かつ的確な体制判断支援
ウェザーニューズは10月26日、法人向け気象予測サービス「ウェザーニュース for business」のパソコン版にダッシュボードの機能を追加したと発表した。
企業の店舗や倉庫、工場など全拠点の大雨リスクを予測し、危険度の高い拠点を瞬時にリストアップする。予想雨量が多い拠点のほか、大雨の影響を受け始める時間やピーク時間を把握できるため、気象リスクが高い拠点を優先して安全対策を講じることが可能。データはCSVやExcelの形式でダウンロードして社内で共有することもできる。
台風シーズンは暴風・強風域に突入するエリアを判定し、5日先までに強風の影響を受ける可能性が高い拠点を優先して表示する。
さらに、災害対策本部ではパソコン版で全拠点を監視し、エリアマネージャーや店長のような現場スタッフはアプリ版から担当拠点の気象変化を同時に確認するなど、最適な方法で瞬時に情報共有していくことで、意思決定のスピードが早まると見込む。
今後も「ウェザーニュース for business」の機能を拡充し、企業の防災・BCP対策強化の動きを支援していく構え。
「ウェザーニュース for business」の気象・防災マップ。拠点をプロットし(青いピンが拠点)、様々な気象データと重ね合わせることができる
ダッシュボードのイメージ図。左図のような拠点ごとの気象リスクを算出(「拠点数割合」や「エリア別拠点数」では拠点の危険度を3ランクで表示)
過去24時間前の解析雨量から72時間先までの積算雨量予測を基に、平常・注意・警戒の3ランクで大雨リスクを判定し、該当する拠点の数や割合を表示する。都道府県や市区町村ごと、企業の組織形態に合わせたグループ単位のリスクも確認することができる。
72時間先までの影響数を時系列のグラフで確認することも可能なので、大雨の影響を受け始める時間やピーク時間を事前に把握できる。
大雨の注意・警戒レベルに相当する拠点数のグラフ。拠点数の推移から影響時間やピークを一目で確認可能(黄:注意レベル、赤:警戒レベル)
24時間後や72時間後に予想される雨量が多い順にリストを並び替えることで、影響が大きい拠点を把握できる。積算雨量が250ミリ以上で”注意”、300ミリ以上で”警戒”レベルのように、エリアごとに雨量の閾値を設定することで、注意や警戒レベルに該当するエリアをリストアップできる。
拠点ごとの予想雨量
各拠点ごとに一覧で確認できる雨のデータは、注意・警戒基準雨量への到達時刻、最大1時間雨量日時、最大1時間雨量、現在雨量(過去24時間雨量)、24時間後・48時間後・72時間後の積算雨量予測。「72時間積算雨量」が多い順などでソートすることで、浸水などのリスクがある拠点に対して早めに対策を始められると想定している。
夏や秋の台風シーズンは、雨だけでなく台風による風の影響まで予測。台風発生時には独自台風予測を生かし、暴風域や強風域に入る可能性がある拠点を判定し、台風の影響を受ける拠点を1時間ごとに5日先までグラフで表す。
危険なエリアに該当する拠点数の変化を時系列で表示するため、閉店判断や準備などを始める時間や対応を強化すべきピークの時間帯を把握できるとみている。拠点ごとの最接近時刻や強風域・暴風域の突入時刻、暴風域・強風域の脱出時刻を一覧で確認することにも対応。ダッシュボードの判定は、気象・防災マップの「台風進路・暴風域予測」の画面と同じにしている。
「ウェザーニュース for business」の気象・防災マップの台風進路・暴風域予測
ダッシュボードの暴風域・強風域への突入拠点数予測のイメージ図(赤色:暴風域、オレンジ色:強風域)
拠点データではなく人口データを用いることで、気象の影響を受ける人数が大きいエリアを把握することも可能。1kmメッシュごとの過去24時間の解析雨量と72時間先までに予想される雨量から浸水リスクを判定し、大雨の影響を受ける人口を推定する。台風発生時には5日先までの独自台風予測をもとに、暴風域・強風域に突入するエリアを判定し、台風の影響を受ける人口を算出する。
(藤原秀行)※いずれもウェザーニューズ提供