サプライチェーンの持続可能性向上策の一環、生産現場の人権尊重も強調
「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは11月7日、一部メディアやアナリストを対象に、サプライチェーンの持続可能性向上の取り組みに関する進捗の説明会を開催した。
「サプライチェーンの可視化と集約」「生産拠点の多様化」「原材料調達管理の深化」の3つの取り組みを柱に据え、全商品で縫製から原材料の調達レベルまでの各工程で、原材料や素材を全て自社基準で指定、管理する体制の構築を進めていると解説。実現に向けて最終商品から原材料レベルまでサプライチェーン全体を可視化し、少数精鋭の生産パートナーに取引を集約していることに触れ、今後は原材料を指定農場や牧場から調達する取り組みを進めていく方針を示した。
「サプライチェーンの可視化と集約」は2023年春夏シーズンから、ユニクロの全商品で原材料レベルまでの商流を把握。さらに今年8月までにユニクロ綿商品で、長期的な取引が可能な紡績工程のサプライヤーに集約してきた。今後は、全素材で3次取引先に相当する紡績工程でも同様の取り組みを進める計画。
「生産拠点の多様化」は、主要生産拠点の中国生産の拡大に加えて、東南アジアでの生産比率が伸長。インドネシア事業、ベトナム事業の国内生産比率は5割以上に拡大し、成長市場のインドでもさらに国内生産を拡大していく予定であることを明らかにした。
「原材料調達管理の深化」は、企画段階で原材料の産地や品質を指定調達し、随時トレースできる仕組みを構築。綿素材から開始し、早期に全素材へ広げていく構え。
今後は主要原材料で生産パートナーと連携し、農場・牧場、工場を指定・調達する取り組みを開始。リサイクルポリエステルでは、既にフレーク・チップ製造者と、調達するチップの品質規格を指定することで、品質の安定化や、最上流まで調達の透明性と安全性の担保を実現している。
サプライチェーンにおける人権・労働環境の尊重についても着実に進捗させ、2023年春からユニクロの綿商品で紡績工場と「生産パートナー コードオブコンダクト」を締結。今年8月までに主要紡績工場で労働環境モニタリングを実施した。8月からはユニクロとジーユーでオンラインストアの個別商品ページ上で縫製国情報の表示を開始。日本と米国からスタートし、今後他の国・地域でも順次展開していく考え。
(藤原秀行)